【番外編】Perseus meteoric swarm

【番外編3】~Perseus meteoric swarm~ペルセウス流星群


…―――


「ソウ!おかえり!!ほら!!早くお風呂に入って!!その間にご飯作っちゃうから!!ちなみに私はもうお風呂入ったから!!」


「え……あ、ただいま。サクちゃん、今日は早かったね」


「何せ今夜のために今日は仕事頑張っちゃったからね!!ほら、ソウも早く準備してして!!」



帰宅した創の背中を朔良が押した。


朔良にされるまま創は「はいはい」と笑いながらお風呂場へ向かおうとしたが背中の服をツンと引っ張られ、進む足を止めた。


振り返った創を朔良が控え目に見上げた。



「ハジメさん、何か忘れてません?」



朔良に言われて創は「……あ」を顔を赤くして片手で口元を覆った。


そんな創を朔良は楽しそうにニヤニヤと待つ。



朔良と一緒に住むようになって数ヶ月。


創は未だにドキドキと躊躇する。



欧米の感覚を備えていない創は時々思い出したように照れるのだ。


それは二人の小さな約束事。


目を瞑って待つ朔良に屈んでキスをした。


短くて柔らかいキス。



それだけで一緒に暮らす幸せを感じる。


目を開けた朔良にもう一度キスをした。


今度は充分に。



「ただいま」



そんな創に朔良も照れながら笑った。



「おかえり。ソウって、実はわりと辛抱できないよね~。肉食系?」


「え、いや、そんなことない……はずと思ってるんだけど」


「ウソつき。あ!でも今日はエッチなしだからね!」



創は困ったように笑った。



「わかってるよ、今夜はゆっくり見よう」



真夏の夜。


今夜は流星群が来る。



風呂上がりの創を朔良は準備が出来たようで、より急かす。



「早く!!10時になっちゃう!!」


「そんなに焦らなくても一番のピークはもっと深夜だよ?」


「いいから行こ!」



両手にビールの缶を持った朔良は笑顔でそう言って、創も笑って頷きベランダに出た。


そこには小さなロッドチェアが二つ並べてある。


座った創の膝に朔良が座る。


二つの意味が無いと創は笑った。



「サクちゃん、重いし邪魔」


「何だと!?」



そう言って朔良はケラケラと笑いながら余計に創にもたれた。


創はそんな朔良の腰に腕を回して抱き寄せた。


今日という日常を愛しく思う。

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