Lunation

Lunation~ Lunation ~創まりの朔の日



…―――――



創はふと目が覚めた。



先ほどまで抱きしめていた温もりが、いるはずの隣にいなかった。



少し焦った創は布団から出るように手を付き体を起こしたが、朔良はすぐ傍にいた。


壁沿いに配置しているベッドの上に座ったまま、朔良は窓から空を見ていた。



「サク……ちゃん?」


「あ……ごめん、起こした?寒かった?」


「大丈夫、だけど……サクちゃんこそ、寒くないの?」



裸のまま毛布をくるまる朔良を創はさらに布団でつつみ、背中から抱きしめた。


空は夜明けを思わす色が広がり、外は少しだけ白ばんでいた。


創は明けの明星を見つけた。


その横をひとつ流れ星が通り過ぎた。



「すごいね!!ソウ、今の見た?流れ星、まだあるんだね」


「それを見てたの?」


「うん。少し前に起きちゃったら、流れて。さっきから何個か流れ星見つけた。ずっと眺めてても飽きない!」


「うん、確かに。飽きない」


「でも凄いね!!こんな夜明けのギリギリまで見れるんだ」


「見れるもんだよ」


「そっか」


「特に今日は『朔の日』だから」


「え?」


「新月だよ。月明かりがないから、星がよく見えるんだ」


「そうなんだ」



朔の日


創まりの日。



「……ハジメ」


「え?」



首だけで振り返った朔良は抱きしめる創を見つめた。



「……好き」



ハニカんだ朔良の囁きに創は微笑んだ。



夜明けの空にまたひとつ流れ星が流れたが、二人はキスをしていて、それに気付かなかった。




~fin~


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る