starlist sky
Loose~ starlist sky ~星空
夜、もし晴れたら星を見よう。
そう提案して誘ったのは創だった。
「明日は雨らしいから雲が微妙だけど……まぁ見える方かな」
日が落ちて、二人で玄関に出て、空を見上げた。
そして、創は朔良に手を差し出した。
朔良は顔を少し赤らめてから、それに手を置いた。
子供の頃のようにと思っても、創のその手は大きくて骨がしっかりしているし、朔良の手は細くて小さい。
手を繋いだ二人は駅からも家からも少し離れた住宅地へと足を運んだ。
すると団地の中にある小さな公園を見つけた。
「わっ!!此処、おばあちゃん所の公園に似てるね!!」
「あそこも団地だったからね」
朔良は創を置いて一人でブランコに向かった。
創もそれに
空を見上げた朔良は何の変哲もない星に声を上げた。
「わー!!星ー!!ソウ!!解説してよ!!」
「んー?あれがオリオン座で……」
「オリオン座は冬でしょ!!テキトー言わないで!!」
静かな夜に二人のクスクスとした笑いが響いた。
もう一度ゆっくりと繋がれた手だけがしっとりと湿る。
「お父さんも……星が好きだったな」
創は何も言わず黙っていた。
「お母さんもお父さんが大好きだった」
「……」
「でもいつかはそれも忘れちゃうんだね」
「……」
「やっぱり傍にいないと…その人のことなんか…」
「サクちゃん…おばさんのは…」
「……わかってる」
朔良の父親は5年前に亡くなった。
"その人いなくなったら…もう好きじゃない?"
再会した初日の夜。
朔良はそう言った。
2年前、朔良の母親は若年性認知症と診断された。
創はそれを去年の里帰りに自分の母からそう聞いた。
「ソウ、あのね…昨日ソウに抱かれそうになった瞬間、脳裏に過ったのはホントに雨の日一緒にいた彼じゃなかったの。お父さんだった。そしてお母さんも……」
「……うん」
「無くなった分を補おうとするのは当たり前のことだし、きっと前を向くにはむしろ必要かもしれないけど…」
「……」
「でも…私──」
「サクちゃん」
創は立ち上がった。
そして朔良の手を引いて朔良も立ち上がらせた。
ビックリした朔良に創はゆっくりと顔を近付けた。
「……ソウ」
ビクッと目を閉じた朔良の瞼にソッと口付けを落とした。
「サクちゃん……帰ろうか」
「……うん」
変わってしまうのは自身の子供から大人の成長だけでなく、周りの環境も同じではなくなっていく。
家に帰って、創はその日も友達の家で寝泊まりをした。
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