第18話

見た目が美しいだけでなく、こんな美味しそうな料理も出来ちゃう凄い人なんだ……。





こんな完璧な人と一緒に暮らすなんて……気が休まらない。





示された椅子に腰を下ろしても、なんだか落ち着かない。





自分がこの場に相応しくないような気がする。





そう。





この場に相応しいのは……おじさんの彼女Aだけだ。





「どうした?冷めないうちに食べなさい」





ミネラルウォーターのボトルを掲げグラスに水を注ぎながら、彼は、食事を始めるよう促した。





「あっ、は、はい……いただきますっ」





「どうぞ」





慌てて手を合わせた私に穏やかな笑顔で頷くと、彼は、そうするのが当然と言わんばかりにサラダを取り分け始める。





私は冷えた水の入ったグラスに手を伸ばしながら、思い切って唇を開いた。






「あ、あの……」





「うん?」




視線を伏せたまま相槌を打つ彼の、その、綺麗な顔をじっと見つめ、躊躇いながらも言葉を続ける。





「凄く……綺麗に片付いてて驚いたんですけど……お掃除は……おじさんが?」




「ああ」




伏せられていた瞼が上がり、私の視線に彼のそれが合う。




途端に気まずくなり、今度は私の方が視線を伏せてしまった。

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