第5話
お母さんの曖昧で適当な話を元に、一生懸命に思い出そうとしても……。
なんとなく思い出せたのは、洋館っぽい立派な家の……サンルームのような部屋ぐらい。
肝心の、深山のおじさん、ってのははっきりとは思い出せなかった。
ただ……そのサンルームの記憶に付随して、背の高い男の人のイメージも浮かぶので、もしかしたら、その人が深山のおじさんなのかもしれない。
単に、ドラマとか映画とかのワンシーンの記憶と深山家の記憶とが混ざり合っている可能性もあるけれど……。
とにかく、その程度の記憶しかないってのに、私がその人に懐いていたっていうのは、ホント、疑わしい。
大学部に進級することはずっと前から決まっていたし、電車で通学する事についても今まで何も言わなかったのに。
……なんでいきなり、こんな事になってしまったのだろう……。
当時高校生だったというその人も、今では30歳。
その人の父親は10年以上前に、母親は20年以上も前に他界している。
つまり……。
独身男と二人暮らし。
それってどうなのよ?社会的に。
いくら信頼できる親戚だ、とはいえ……親として、その感覚はマトモとは言えないと思う。
本人同士がロクに面識も無い……親戚宅とはいえそんなところに4年間も大事な娘を預けるなんて……。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます