第12話
私はホットミルクを用意して、一口食べる毎に「美味し~い♪」と言いながら食事を続ける俊彦おじさんの向かいに座った。
相談を切り出すのは食事が済んでからの方がいいかとも思ったけれど、私がいつになく神妙に見えたのだろう、俊彦おじさんの方から「何かあった?」と訊ねてくれて。
私は思い切って、西乃杜大の学園祭の件を打ち明けた。
◇ ◇ ◇ ◇
「ん~……心配だけど……友達が一緒なら大丈夫かな……」
「えっ、いいんですか?」
早くもほろ酔い状態の俊彦おじさんに向かい、私は、詰め寄るようにして聞き返した。
彼は、うん、と頷いてからワインを飲み、
「当日は修哉が休みだし、何かあっても駆けつけられるし、ね。約束として、ひと気の無い場所で1人にならない事と、友達との待ち合わせの場所まで修哉に送迎を頼む事。これを必ず守ってくれればいいよ」
そう言ってグラスをテーブルに戻した。
「はいっ、大丈夫です、守れますっ、良かった~……ちょっと断り難い空気で……」
「莉奈は怖くないの?十和田青年に遭遇しちゃうかもしれないよ?」
伺うように見つめられ、一瞬、視線が泳いだけれど。
「遭ってしまったら嫌だし、怖いですけど……友達と一緒なら多分平気です」
口元に笑みを作って頷いてみせる。
昼間のほんの数時間、沢山の人でごったがえす大学のキャンパスの中、しかも明穂達が一緒……もし万が一、十和田さんに会ってしまっても、この前のような事にはならないだろう。
逆に、保身が第一で、十和田さんの方が私を避ける可能性もある。
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