第10話
「莉奈が生まれた頃はそうだったのだろうが……幼い頃の莉奈を想うのと、今の気持ちは……少し違うかもしれない」
俊彦おじさんの心情が推し量れず、途方に暮れているのだろうか……。
そう、感じたのも束の間、彼は自嘲気味に吐息を漏らした。
「少なくとも、俺の中では……変化があった」
「え?」
思いがけず、修哉おじさんが自身について語ったので、私は驚きの声と共に彼の横顔を見上げていた。
「会えなかった事が……こういう形で功を奏するとは思っていなかったよ」
功を奏した?
会えなかった事が?
一体、何の事?
「……功を奏する……って、何が……ですか?」
私が問いかけると、修哉おじさんは飲みかけのコーヒーが入っているカップを手に立ち上がり、
「……それは、いずれ……」
そう言い残して、キッチンへと向かって歩いていってしまった。
◇ ◇ ◇ ◇
修哉おじさんの意味深な言葉。
俊彦おじさんの真意。
謎かけの答えが出ない時のようなモヤモヤ感を抱えたまま、数日が経過した。
その間、修哉おじさんの態度も俊彦おじさんの態度も相変わらずだったけれど、私の方は、つい、俊彦おじさんを意識してしまったり、修哉おじさんの言葉を深読みしてしまって。
それが理由で、ぎこちない態度をとってしまったり、心ここにあらずな状態に陥ってしまう事も時々あった。
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