第8話

「従叔父は5親等。……生涯独身と決めている俊彦でも、莉奈が相手ならば考え直すかもしれない」





イトコオジ?





………ああ、私のお母さんの従弟だから……いとこ叔父?






そういう言い方をするんだ……知らなかった。






っていうか……5親等とか言っちゃって……なんか、現実的な話になってるし……。





それ以前に、俊彦おじさんが生涯独身と決めているなんて、初めて聞いたし!





その理由も良く分からないのに、はいそうですか、なんて言えないし、納得できない。





なんで、私が相手なら考え直すの?





その根拠は何?





俊彦おじさんの私の可愛がり方が、尋常ならざるレベルだから?





でも、それって、単に私が……大好きな従姉の娘だからで……。





「いや、でも……俊彦おじさんは、私がお母さんの娘だからこそ、ああやって可愛がってくれてるだけですから……」






「俊彦は莉奈を愛しているよ」





愛している、という言葉を聞いた瞬間、俊彦おじさんの言葉が脳裏に蘇った。






────修哉にだって、本当は……触れさせたくないんだから────






そう言われた時は、からかって言ってるだけって感じだったし……俊彦おじさんもそれを否定しなかったから……。





多分、ただの軽口なんだと、今でも思うけど。





でも……。





「あはは……そんな大袈裟な~。それは……あくまでも身内として、ですし」





胸の奥に湧き始めたざわめきを誤魔化すかのように、大きな声で否定して、笑いながら首を振る。





頬は、笑顔を作るのもやっとな程に強張っていた。

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