第3話
◇ ◇ ◇ ◇
修哉おじさんへの想いをねじ伏せない、と、心に決めてしまってからは。
自分でも、ちょっと極端すぎるかな?と心配になるぐらい、彼と接触する時間を増やした。
平日の夜はなるべく遅くまで起きて、いかにも『観たいテレビがあります』というそぶりで修哉おじさんの帰りを待って。
仕事から帰ってきた修哉おじさんを玄関先で迎えたり、お風呂上りの修哉おじさんを観賞したり、お休みの挨拶をして、1人でドキドキしたり舞い上がったりしていた。
勿論、大概は俊彦おじさんの方が先に帰ってくるので【婚約者ごっこ】はできない。
けれど、修哉おじさんは俊彦おじさんの前でも私を婚約者扱いしてくれるし、俊彦おじさんが僻むぐらいには私を独占してくれる。
修哉おじさんとしては、単に、露骨に悔しがる俊彦おじさんを見て楽しみたいだけなのだろうけど。
私は、大好きな修哉おじさんにそう扱われる事で、この上ない幸せに浸ることが出来た。
そして今日は、待ちに待った土曜日。
修哉おじさんはいつも通りに家事をこなし、いつも通りに私を昼食後のコーヒーに誘ってくれた。
いそいそと修哉おじさんの隣に座り、コーヒーカップを口に運ぶ。
彼はいつもそうするように新聞を開いて、しばしの間、コーヒーを飲んでいたけれど、私がテレビも見ずに黙っている事が気になったのか、手にしていた新聞をたたんでローテーブルにそれを戻した。
「テレビは?」
「いえ……今日は……特に観たい番組もなくて……」
「退屈なら出かけてもいい。美術館にでも行ってみようか」
気遣うように優しく問いかけてくる修哉おじさんに、私は慌てて首を振った。
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