Chapter3
第50話
藍錆色のリボンの端をつまんでテープの輪を床に落とし、それを長めに引いて唇で軽く食み。
傍らのワゴンからハサミを取って、適度な位置で裁断する。
そして、俺は、背を向けたままじっとしている莉奈へと歩み寄り、襟から腰へと美しく並ぶ包みボタンをひとつ、ふたつ、と外していった。
暴いた背の純白のリボンを解き、ワイシャツの胸ポケットに突っ込んで。
代わりに、唇から解放した藍錆色のリボンを通していく。
愛してる。
これまでも。
これからも。
この命ある限り。
この命を賭して。
永遠に。
ひと編み、ひと編み、まじないを込めて。
緩やかに撓むリボンを最後まで編み上げ、解けないように。
清らかな白に代えて、密かなこの翳りと供に結びとめるSomething Blue。
秘めた憂いの色は、白いドレスで覆い隠してしまえば、傍目には判らなくても。
神の御前では、隠すことは叶わない。
けれど。
君は、これを単なる純潔の証しと信じて。
バージンロードを踏みゆくのだ。
ほらね、だから言ったじゃないか。
少しも警戒しないから。
こんな善からぬ事を、俺にされて……。
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