第48話
くすぐったい、か。
幾度となく修哉の手によって導かれてきたはずの身でありながら、また随分と初心な困り事を……。
……っていうか、この上、下着の悩みを打ち明けられちゃう俺も、従叔父としてどうなんだろうねぇ。
従叔父どころか、親戚の叔母扱い……?
「……なるほど」
俺が苦笑しながらも納得を見せると、莉奈は更に悩ましそうな表情で首をかしげた。
「何か……他の小物で、ブルーのものを探そうかな、と……」
うーん。
ブライダル用のガーターリングは清純で可愛らしいデザインのものが多いし、誰に見せるものではなくても、新婦のトキメキアイテムの1つではあるが……。
着けた時の感触に違和感があると本人が感じているなら、それに拘る意味もない。
なにか、他の形で取り入れてやらなければ……。
Something Blue……。
純白のマリエに秘める……ただひとつの青。
ああ。
それならば……
「それなら、この……」
この寂しさを、切なさを……どうか……。
「え?」
聞き返されて、咄嗟に我に返り。
「………っ」
声にしかけた戯言を、動揺と共に飲み下す。
そんな俺を不思議そうな表情で見つめている莉奈に、微笑みで平常心を装って、
「この……リボンを」
俺は、壁際の棚からテープ状に巻かれた藍錆色のサテンリボンを取り出し、莉奈に差し出した。
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