第43話
「こんな場所で2人きりで……。俺の理性がぶっ飛んで、善からぬ事をするかもしれないよ?」
それならば、と、あえて冗談めかして吹っ掛けてみるけれど。
「もう、またそうやってふざけて……。私に対して、俊彦おじさんがそんな事をするはずありません」
得意気に言い切って微笑む莉奈を前にしてしまっては、もう、それを覆す言葉も出ない。
いつの間に、俺は、こんなにも絶大な信用を手に入れていたのだろう。
それはとても、嬉しくて光栄な事なのだけれど。
この期に及んで、少しだけ……寂しくも感じている……。
「ハァ……」
ひとつ、ため息をついて。
俺は、苦笑しながら両手を軽く掲げ、早々に降参の意を示した。
「……じゃあ、廊下に出てるから、袖を通して襟のホックをとめたら、呼んで?」
「はい、お願いします」
嬉しそうに頷く莉奈に背を向けて、俺は再び廊下に出た。
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