第25話
「どうだ?修哉君とは親しくなれたかな?」
俺が応接室に入ると、喪服姿の父さんは紅茶の入ったカップをソーサーに戻し、そう問いかけて来た。
修哉の部屋に行ったきりなかなか戻って来なかったと知って、ある程度、察しはついているんだろう。
そうだよ。
父さんの思う通り。
「うん。まあ、色々あったけど、うまくやっていけそうだよ」
俺が笑顔で答えると、父さんはソファから立ち上がった。
「それは良かった。明日から東の部屋の大掃除だ。手伝ってくれよ?」
そう言いながら出入り口へと向かう父さんの後に、俺も続く。
そして、言われた言葉を頭の中で反芻して、俺は、疑問にぶつかった。
「いいけど……東の部屋って、あの開かずの間のこと?……電気配線で調子悪いトコがあるから、使えないんじゃなかったの?」
確か……母さんが他界した直後に、使用しなくなった物や家具を運び込んで……。
日当たりがいい部屋なのに、どうして物置みたいな使い方をするの、と、由佳里ちゃんに訊ねたら、そんな答えが返ってきた記憶がある。
骨董品などを保管するから、鍵をかけるのだと……。
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