第24話

「あの、大変申し訳ありませんが……このお部屋の中も検めさせて戴くように、と、命じられておりまして……」






「ああ……好きなだけ探せ。……俊彦、行かなくていいのか?」






修哉にさり気なく促されて、俺は、ハッとして引き際を悟った。







修哉が俺に託すと決めたのなら。






最後まで、上手く演じて。






ここから持ち出してやらなければ。






「あ~、うん、そんじゃ、俺、帰るわ……。修哉、またな」






「……ああ」






修哉の冷めた返事を背に。







俺は、何食わぬ顔で修哉の部屋を後にした。


















ポケットの中の掌が握る、硬く冷たい銀の十字架。








更にその中には、叔母様が遺した【何か】の真相を解き明かすに違いない、金色の鍵。







妙な事になったが……。







思いがけない形で、俺達は、互いに歩み寄る事ができたような気がする。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る