第21話
「……ああ、そうだよな。……そのペンダントが十字架だからって、信仰心とつなげたりして……短絡的すぎた」
言いながら、修哉の手に戻ったクロスペンダントに視線を移す。
ふと、その形に違和感を覚えて、俺は、咄嗟に修哉の手に顔を近づけてしまっていた。
「……なんだ、いきなり……」
まじまじとクロスペンダントに見入る俺が、不気味なのだろう。
さすがのポーカーフェースも、声では怯みを隠せていない。
「これ、開かない?……実は、これと似たようなモノをアンティークの雑貨店で見た事があって。確か、ロケットペンダントみたいになってて……中に小さなマリア様の像とかを、入れる事が出来……」
半ば強引に修哉の手からペンダントを取り上げ、十字架に軽く力をかけてみる。
するとそれは、予想通りシンメトリーに開いた。
「………鍵?」
中には、金色の小さな鍵が、1つ、入っていた。
「なんの……鍵だ?」
「さあ?」
修哉は、俺の問いかけに即答した。
そっけない返事だったけれど……決して、知っていて隠しているような感じでもない。
叔母様は、クロスペンダントを形見の品としたのではなく。
修哉にこれを……遺したのか……?
理由も、何の鍵なのかも、本人には教えずに……?
「探そう。きっと、なにか意味がある」
このサイズの鍵なら、錠前も小さい。
考えられるのは……鍵付きの……小物入れか、日記帳あたりか……?
「おい、叔母様の遺品に……鍵付きの日記帳はなかったのか?……それか、小物入れとか、ジュエリーボックスとか」
小さな鍵を収めたまま十字架のケースを閉ざし、修哉に問いかける。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます