第8話

「おい、どこ行くんだよ」






「お前には関係ない」






「父さんに言われてんだよ、今日はなるべく修哉に付き添っていろ、って」






「ふん。俺の知った事か……」






言い捨てて、修哉は通り沿いのカフェに入っていった。






慌てて後を追い、店内に視線を配れば、修哉の向かう先のテーブルで女子大生のような風貌の女が手を振った。





「意外と早かったね~」





見た目より幼い印象の声。





もしかしたら、高校生か……?





いや、でも、仮に高校生だとしても……金ボタンがケバケバしい青いミニのワンピースに、黒のロングブーツ、派手な化粧……夜な夜な遊んでますといわんばかりじゃないか。





というか……この女……






「まさか、修哉の、彼女……?」






呆然と問いかける俺を無視して、修哉は鬱陶しそうな表情のまま椅子に座った。






黒いスーツに身を包み長い足を組んで座っている修哉の姿は、妙に大人びていて、知らない人が見れば高校生にだって見えるだろう。






俺も170㎝程度の背丈があるので、制服を着ていない時は高校生と間違われることがあるけれど。







修哉はそんな俺よりも、擦れてる印象を醸していて……とても中学1年には見えない。






こんな化粧バリバリの女と一緒にいれば、尚更、だ。







「誰?……シュウの友達?」






「違う」






女に茶化すように問いかけられて、修哉はボソッと一言返した。






確かに違うが。






じゃあ何者なんだ?…ってコトになるじゃんっ!






言えよ!






従兄だ、って!

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