第21話

「っていうか~、それなら、そのストーブ、お祓いしてみればいいんじゃないですか?」





「お祓いって、神社とかで?」





「骨董品とか念が篭もってるモノは、お祓いするといいって、テレビかなにかで……」





「いやいや~、骨董品ならまだしも、ストーブだよ?神主さんがどんな顔するかしらねぇ」





言葉を挟めずにいる私の前で、2人は、あたかも天気の話でもしているかのような気楽なムードで話している。





お祓いだなんて…。




冗談じゃない。




「で、でも500円で買った…みたい…だし…、そんなお祓いだなんて大袈裟な……」




「電気ストーブが500円~?うわ~、なんか、いろんな意味でヤバそう~。すごく気に入ってるわけじゃないなら、お祓いしてまで使うコトないですよね」




私の言葉を遮り、矢野ちゃんが驚きの声をあげた。





この子も、普段は温和な声音なのに、驚いたときの声は甲高くて良く響く。





気圧されている私をよそに、太田主任が、うんうん、と大きく頷いた。




「ストーブを捨てても変な現象が起こるなら部屋に憑いた幽霊とか?……っていうかさ、そのお友達には、脳神経外科か精神科を受診した方がいいって勧めてやりなよ」




やっぱり。




結局はソコに行き着くんだよね。




自分で考えても、オカルト現象扱いするより、脳の病気を疑った方が現実的だと思うもの。





「あはは…そ、そうですよね。……そう言っておきます」




私は苦笑しながら、トレイの上の箸に手を伸ばした。





その瞬間、




「安原さん」




「はいっ?」




突然背後から声をかけられ、私は持ったばかりの箸を再び手放し、椅子から腰を浮かせてふり返った。

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