第20話

「相談だなんて……何かあったの?」





お味噌汁のお椀を置いて、太田主任が興味深そうに問いかけてきた。




そう訊かれる前提で持ちかけた話ではあるけれど、いざとなると、どこからどう説明して良いか分からない。




少なくとも、今の2人の言葉から推測するとオカルト現象に詳しくはないみたいだし、そういう現象自体信じてないっぽいし。




光の球体が見えるなんて言おうものなら、ヘンなヤツだと思われそうだ。




「あ、えと……とっ、友達から相談されてて。その……なんか、バザーで安い電気ストーブを買った……みたいなんですけど」





私は咄嗟に、亜里沙を私に置き換えた偽りの体験談を急ピッチで捏造した。





「そのスイッチを入れるたびに光りが見えて……消そうとすると『消さないで』っていう声も聞こえるとか」




別に亜里沙とこの2人は面識がないし、こういうコトで利用してもバチは当たらないだろう。




っていうか、昨日のことを思えば当然の報いだからね、亜里沙。




「え~っ、なにそれ~、その友達ヤバくない?寝ぼけてたとか酔っぱらってたとかじゃなくて?」




太田主任は、呆れたような苦笑を浮かべる。






「いえ、そうじゃない……みたいです…」




自信なく首を振る私。





亜里沙のコトという前提で話をしているとはいえ、「ヤバくない?」とかキッパリ言われると正直傷つく。

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