第15話
それにしても……。
私は力なく球体を見つめた。
いつの間にか耳鳴りは消えているのに、目の前の球体はまだフワフワとたゆたっている。
幽霊のクセに、なんか妙に明るくて……あまり怖くない……。
いや、こんな非現実的な現象を目の当たりにして、そう感じている私の頭が既に、かなりヤバいんだろうけど。
でも、何故か、おどろおどろしい気配は全く感じない。
それどころか…。
なんか……。
親しげに…近づいてきてるんです…けど…?
球体は曖昧な輪郭をじわじわと広げながら、私の目前に迫りつつあった。
「ぎゃ!」
小さな悲鳴を上げて身をすくめた私の肩に、ふわん、と、温かい何かが触れる。
儚いのに、明らかに空気とは違う…未知の感触。
無重力の環境で宙に浮かぶお湯の球体を触ると、丁度こんな感じなのかもしれない。
なんて……心地良い暖かさ。
こんなに近くにいるのに、その光は、痛いとか、熱いとかじゃなくて。
穏やかで。
柔らかくて。
まるで、護られているみたいな…安心感。
もしかして、これは、幽霊とか、呪いとかではなくて。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます