第14話
明るい部屋に、明るい球体。
気が付けば不快な耳鳴りはおさまっていて。
でも、球体は消えていなくて。
これ以上開かないというほど目を見開いているのに……でも、やっぱり球体は消えなくて……。
「やだやだ~、もうっ、何これっ、なんなのっ、なんなの~っ!」
あり得ない!
あり得ない!
あり得ない!
何度もそう思いながら、でも、やっぱりこれは現実なんだと、ヒンヤリとした枕の感触で実感する。
私は意を決して、ベッドの足もとで熱を発し続けているストーブのスイッチを切った。
静まるモーター音とシンクロするように、球体が薄まっていく。
「き……消えた?」
このストーブって……………こういう仕様?
「……じゃなくてっ、何、これ、れっ、連動してんの!?」
呟きながら、もう一度スイッチを入れる。
すると、最初は小さな卓球の球ほどの光りが浮かび上がって…。
それがじわじわと大きく発光していく様を、私は、両目でしっかりと観察してしまった。
「うっそ……、このストーブ、幽霊付き?」
そんなバカな…。
それでも、そうとしか思えないような非現実的な現象を、どう説明つければいいのか。
…っていうか、何で、それを私が説明つけなきゃいけないの?
古い型だから安かったんじゃないの?
幽霊つきのストーブだから破格だったの?
購入した品物に関する問い合わせ先として、幼稚園の電話番号と担当者の名前の書かれた紙が、さっきのレジ袋に入っていたけれど。
「これ、点けると幽霊が出るんで返品します」なんて、言えるわけがない。
一応、製品としては問題なく使えているんだもの、動作を確認している時にこのオカルト現象が起きなかったら、頭がおかしい人だと思われちゃう。
まして、チャリティー。
しかも500円。
募金したと思えば割り切れる額ではある………。
「…………」
仕方が無い、泣き寝入り決定だ………。
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