第13話
私は震えがおさまりきらない膝を折って、電気ストーブを立て直した。
すると、すぐにまたヴィーンと小さく唸りだし、何事もなかったかのように再び熱を発し始める。
良かった……壊れてない。
そう、安堵したのもつかの間。
またしても、私のコメカミを微かな耳鳴りが襲い始めた。
「うーわー……来た……」
足もとの電気ストーブに視線を落として、その耳鳴りと生温い圧力に耐える。
一気に汗をかいた掌を握りしめ、私はそのまま、部屋の中央に立ちすくんだ。
やっぱり、明らかに、背後に何かを感じるんだけど……。
振り向くのが怖い。
でも、その恐怖の反面、まさか、という気持ちもあって。
だから。
とにかく。
振り向かないわけにはいかない。
これで、振り向いてなんでもなければ、それでいいんだから。
さっきのが目の錯覚だったって確認できれば、この耳鳴りはただの偶然で……。
どうしても気になるなら、後で耳鼻科を受診すればいいんだから。
そう、自分を励ましながら、私は息を止め、目を細めて背後を振り返った。
「くっ!」
細めた目を恐る恐る開くと……その先には…。
「~~~~っ!」
ある~~~!
光の塊が浮いてる~~~!
全身の血の気が下がるのを感じながら、私は、その非現実的な光景から逃れるようにべッドの上に飛び乗り枕を抱えていた。
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