第4話
公園のように整備されたマンション群の敷地を眺めながら、整備されたばかりの通りを5分も歩くと、粗方予想していた通り、勤め先の表の道に出ることが出来た。
私の勤め先は電子機器メーカーの工場で、その敷地面積はちょっとした小学校並みの広さになる。
つまり、破滅的な方向音痴でない限り、多少方角にズレが生じていても、工場の敷地付近のどこかにはたどり着くという寸法だ。
目の前にそびえる高い塀からは、工場の敷地を囲むように植えられた針葉樹の枝がのぞいていて、敷地内の建物は全く見えない。
平日なら搬送用のトラックやら社名の入った業務車両やらが行き交う表門も、今は閉ざされて閑散としている。
広めの道路を挟んだ反対側は住宅街で、車も殆ど通らなくて…実に静か……。
……~~♪
「んん?」
いや、静かじゃない…かも。
耳を澄ますと、駅前で嫌と言うほど耳にしていた陽気なクリスマスソングが、どこからともなく響いている事に気が付いた。
駅からは随分離れたし、この周辺には商業施設も無い。
もしかして……
そう思いながら、通勤で歩き慣れた道を足早に歩くと、程なくして音の出所を突き止めることが出来た。
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