第31話

「まあ、いっか。これからはいくらでも素直で可愛い瑠羽が見られるわけだし、普段は粗暴なぐらいが丁度いいよ」





「しっ、失礼なっ!」





私は、彼の手を振り払うべく頭をぶんぶんと横に振って、ベッドから降り立った。





剥き出しになった素足に続いて、厚手のベッドカバーがゆっくりと床にずり落ちる。






その思いがけない重みに負けてよろめいた瞬間、私の左腕は、朋紀の手に引き止められた。







どうせ、いつもみたいに悪びれない笑顔で、軽く謝るつもりなんだろう。







そう決めつけて、呆れ顔でふり返った私は、朋紀の請い願うような眼差しに射抜かれて、思わず息を呑んでいた。

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