第29話
ゴロリと仰向けに横たわった朋紀の顔は……苦悶に歪んでなんかいなくて……。
どちらかといえば……満足そう……。
「幸せすぎて、魂ぬけた……」
朋紀は目を閉じたまま、うっとりとした声音で呟いた。
「……もっ、もうっ、何それっ」
具合が悪い訳じゃないとわかってホッとしたものの……まんまとからかわれたかと思うと悔しい。
慌てて起きあがった所為で露わになってしまった身体をベッドカバーで隠しながら、私は顔をしかめて朋紀の顔をのぞき込んだ。
そんな私の顔を見ても、彼は、ただ、嬉しそうに笑うばかり。
謝るどころか腕を伸ばし、私の頬に熱い掌を押しあててくる。
「も、すっごく良かっ………んぶっ!」
私は咄嗟に、近くのクッションを掴んで彼の顔に押しつけていた。
「やめてっ!喋んないでっ!聞きたくないからっ、感想なんてっ!」
何を言い出すかと思えば!
このデリカシーの無さ………!
なんかもう………卒倒しそう……。
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