第16話

「ダメ。婚約した時点で準備しておかなかった瑠羽が悪い」





う……っ。





確かに、そうなのかもしれないけど……。





その婚約だって、私の意思は等閑で、勝手にみんなで進めた事でしょ?




そもそも、こんな事を覚悟する前の段階で、私の気持ちはずっと足踏みしていて……。




だから……。




つまり……。




とにかく………。




「気持ちがついていけてないんだってばー!」





私は、乱暴な男の子のように声をあげて、一瞬怯んだ朋紀の身体を押しのけるように起きあがった。





荒々しく息をする私と、呆然と膝をついて座っている彼を、沈黙が襲う。






ヒジョーに気まずい。





でも、今のは私の本音だし。





言ってしまったものは、今更引っ込めることもできない。

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