第13話

震える力を振り絞って、私は両腕で朋紀の胸を押しのけた。




それで逃れたつもりでいた。




けれど。




大きく息をついて床に崩れ落ちていた私に、朋紀は容赦なく身体を預けてきた。




強引に押し倒されて、視界がぶれる。




ようやく定まった焦点で見上げた朋紀の顔は、真剣な表情を湛えていた。





「もう、解禁だよね?」





そう囁かれ、全身の血が引いていくような感覚に襲われた。

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