第11話

こんなに綺麗な朋紀の前なのに………私ときたら、ノーメイクでパジャマ同然の格好で……。




今更ながら、恥ずかしい………。





「あっ……えぇっと……折角だから……買い物、行こうかなっ」




いたたまれず立ち上がり、私は、すぐ後ろのクローゼットの中から適当に服を取り出した。




なんかもう、とりあえず、外に出られる服に着替えて、化粧ぐらいはしないと……。




「んじゃ……ちょっと着替えてくるから……」




「待って」




服を抱えて洗面所に向かおうとした私のワンピースの裾が、朋紀の声と同時に引っ張られる。




「な、何っ?」




驚いてふり返った私を、朋紀は悪びれない笑顔で見つめていて。




ドクンと心臓が高鳴った瞬間、私の腕は朋紀の手に捕らえられ、あっけなく身体ごと彼の腕の中に取り込まれてしまっていた。

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