Chapter2

第8話

ジャケットを脱いで、いつものようにベッドの上に腰掛けると、朋紀は、立ちつくしている私の姿をしげしげと眺めている。




「急いで出かける用事もないみたいだね……」




どうやら、私が着ているニットのワンピースがパジャマがわりだという事は、お見通しらしい。




「ホントは、買い物にでも行こうって思ってたけど……なんとなくダラダラしちゃって」




「ふうん。買い物行くならつき合うよ。俺も特に用事無いし」




私の答えに笑顔を返して、朋紀はベッドの上のクッションを玩び始める。




「気が向いたらね。……っていうか、何しに来たのよ?自分の新居の方は片付いたの?」




朋紀が独り暮らしを始めたマンションは憲栄館の大学部の近くで、ここから電車で一駅先の隣町にある。




なので、ついでに遊びに来た、というような距離でもない。




昨日の今日で、いきなり訪ねてくるなんて……やっぱり、何かあったのだろうか……。

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