第7話
まあ、別に、今更入っちゃダメって事もないけれど……。
もう少し普通の入り方ができないものだろうか……。
文句の1つも言ってやろうと思って顔をしかめた私を玄関マットの上に立たせ、後ろ手に鍵をかけると、彼はそのまま私の頬に唇を押しあてた。
その突然のキスに、今までのそれには無かった勢いのようなものを感じて、私は思わず身体をすくませてしまっていた。
「やだ……何?」
顔を反らして苦笑した私をよそに、彼は靴を脱いで、私の身体を更に強く抱き寄せた。
「ねぇ………どうかしたの?」
さすがにただ事ではないと思い、私は、神妙な声で問いかけていた。
昨日、あれから、何かあったんだろうか……。
そんな不安がよぎり、胸の奥がざわめく。
朋紀は、私の身体を解放して、
「なんでもない。会えて嬉しかっただけ」
そう言って、屈託の無い笑みを湛えた。
一見、屈託無く見えるけれど、なんとなく裏のある作り笑いにも見える。
思わず眉をひそめた私に背を向けて、朋紀は部屋の奥へと向かい歩きはじめた。
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