第6話

「うわ……っ」




靴を履き損ねた左足は玄関の敲きに着地。




倒れる!と思った次の瞬間、私の身体は、目の前に立ちはだかっていた人に抱きかかえられていた。






「おはよ、瑠羽」





この聞きなれた甘い声音。




この馴れ馴れしさ。




耳元に囁かれたそれは、まさしく朋紀のもの。




私は朋紀の腕の中に収まったまま、大きなため息をついてしまった。




「ちょっと……もう……いきなりなんなの~」




つい、鬱陶しそうに言ってしまったけれど、内心では、朋紀の予定外の訪問に少しだけ気持ちが浮上していた。




「ごめん。驚かせたくて」




朋紀はそう言って、私の身体を抱きしめながら、玄関の内側に押し入ってくる。

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