第4話

確かに、私は朋紀の事が好きだ。





香坂家のしきたりや慣習を重んじながら交際をするためには、婚約という形を取らなければならないのも納得している。




だけど、私達は……。




香坂家の慣習や世間体を気にして、中学生レベルか、もしくはそれ以下の、呆れるほど清い関係を維持してきたんだもの……。





いきなり『婚約』という位置までステータスを飛ばされて、周囲からお膳立てされても……戸惑ってしまうというのが本音だったりする。





まるで、知り合ったばかりのお見合い相手との結婚を、勝手に進められているような気分。






「なんだかなぁ……」





私は、悪い意味での夢心地に支配された頭をもたげ、ベッドの上から降り立った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る