第10話
瑠羽と手を繋いで巡る世界は、それまで見てきた世界とはまるで違って見えた。
今まで、2人で外出する事自体、そんなに回数があったわけじゃないけれど。
その数少ない屋外デートでも、瑠羽は、俺との間に、人1人分ぐらいの距離を置いて歩いていて。
手を繋ぐどころか、視線すら合わなくて。
人混みに入ると、まるで他人同士みたいに離れてしまう事もザラだったから。
手を繋いだだけで、2人の距離が一定以上広がらなくなる事に‥‥‥‥そんな当たり前の事に、俺は心から感激した。
それから、鏡に映る2人がどう見ても彼氏彼女の関係にしか見えない事に、感動して‥‥‥‥嬉しくて、口元が綻んで仕方が無かった。
瑠羽オススメのカフェでケーキを食べて。
それからCDショップをのぞいたり、本屋に立ち寄ったりして。
パスタの専門店で少し早めの夕食も済ませて。
さあ、今度は何処へ行こうか、と訊ねようとした矢先に、瑠羽は、俺にプレゼントのマフラーを手渡して「帰ろう」と言い出した。
俺は、瑠羽がそう言い出した事に納得できなくて、いつのも調子でゴネてみたけれど、瑠羽は俺の要望を聞き入れてはくれなかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます