第16話セキュリティ解除

全部を喰らえ、全部を壊せ。

悪を……異世界からの悪を許すな


『“支配の楔”』


あぁ、愚かで可愛らしい人々を僕が対応しないとか。

どうして、が守りたい場所に来るんだ。

どうして、神を信仰するんだ。

マスターに辛い思いをさせる気か?

何度繰り返しても自分は幸福が得られるならやっていいと思ってるのか?

全ての人間を個別に拘束し


『“◻︎◻︎”』


マスターの真似をする。

あぁ、やはり死んだ人を蘇られるのは僕には無理だ。

僕は神ではない、なら世界の修正力に任せないとか。


『“遊洄ゆうかい”』


僕がマスターの魔力を使い、僕ができる唯一の権能を行使する。

目の前に歪みが現れ僕はその中を泳ぎ続ける。

探すのはたった一つだけ、それを探し続けて


『ミィ…ツケ………ダ〜!』


見つけた場所へ全てを壊しながらいくのだった。


———•••———


『起きないとか』


周りが歪な場所で、生命体が長い眠りから起きる。


『はあ、それにしてももっと寝てたかったんだけどな』


———•••———


ローブを着た人たちが右往左往する教会にて、九人の神官の服を着た人たちが話あっていた。


「どういうことだ!なぜ支配から連絡が来ない!」


顔をウェーブで隠した男が机を叩きながら叫ぶ。

周りの人たちも同じ考えなのか男の行動に対して特に何も言わない。


「その反応、本当に分かっているのか!?我らが神に生け贄を与えられてないのだぞ!?体は顕現するのにより時間がかかるではないか!?」

「その点は私たちも分かっているから一度落ち着け共鳴」

「振動よ!落ち着けも何も私は落ち着いているとも!」

「その反応が落ち着いてないって言われてるんだよ〜。

それに支配は性格は終わってるけど仕事はするんだから待ってみれば?

まあ、捕まってるけどさ」

「誘惑よ、最後何か言ったか?」

「いや〜。何も言ってないよ〜?」


深くローブをかぶっているため顔のみえない誘惑と呼ばれた人物は周りを見回す。


(それにしても、支配が捕まるか〜。

支配のことだからどうせ舐めプなんだろうな〜。

そもそもとして私たまたまここにいただけだったのに神官服渡されて着ろって言われたから着ただけなのに、知らない間に所属してる扱いなのいまだにわからん)


誘惑がそんなことを考えているが目の前の人たちはたまに殴り合いをしながら会議が進んでいく。


(なんで殴り合ってるの?やっぱこんな組織とっとと離れるべきだった〜!

教祖にされた友達をとっとと連れて離れられてたら〜!)


「振動!支配が帰らないなら今いる聖職者達を生贄に捧げればいいだろう!」

「言い訳あるか。それでは我らが神の信仰が減ってしまうだろう」


段々、冷静さを失った共鳴と振動に危険さを感じたのか他の神官達が宥めるが宥めることでより2人は冷静さを失っていっていた。


「そもそもとして教祖様はなぜ動かん!このような事態初めてなのだから教祖様から何かお告げがあるはずだろう!」


共鳴がそういうと部屋の扉が開かれ頭から黒い角の生えた男が入ってきて


「ゴミども教祖様からありがたーいお言葉だ。

『お前達も人攫いをしてこい。顕現に必要な魔力が散り始めている』だそうだ。だからこんなことしてないで生け贄を持ってこい」


それを聞いた神官達は


「どのような人でも良いのか?」

「いいそうだ。元々孤児ばかり狙っていたが、ここ最近はそこらへんにも監視の目が飛んできている。なら、普通に連れてきた方が早い」

「そうかなら今すぐ

「それって本当に教祖が言ったの?」

誘惑よ!こやつからの言葉を疑うのか!」


誘惑の言葉に共鳴がすぐに反応をするが角の生えた男は特に何も言わない。

数分ほど静かな時間が経つと


「あっそ。私はパスで」


と、誘惑がいい部屋から立ち去っていくのだった。

誘惑が立ち去った後


「パスとはなんだ!誘惑は身勝手がすぎるぞ!」

「それには私も同意だが、実際に教祖様が来ない理由はなんだ?」


男は少しほど考えたのち


「体調不良です。ここ最近は魔力を体に留めることに使っていらっしゃったので」


男がそう返すと


「なぜ、誘惑にそのことを伝えなかったのだ?」

「誘惑は自由に動かさせた方が都合がいいのですよ。誘惑の使う力は個人でいた方がいいでしょうから」

「そうか、すまない。浅はかだったのは私の方だったか。では私は贄を回収しにいってくらる?」


共鳴が部屋を出ようとしたら扉の前で立ち止まり立ったまま動かなくなった。

他の神官達や男もどうしたものかと様子を見ると


『ヴィア〜!』

「なんだこいつ!?」


共鳴の体を貫いて黒いカジキが現れるのだった。


———•••———


黒いカジキが現れてからは一方的に神官達が囚われていた。

神官達もCランクぐらいのヒーロー達とは対等に戦えるのだが、どの神官もカジキに触れることはできなかった。


「はぁ..はぁ..なんなんだこいつは!」


角の生えた男はカジキからの突撃を避けるが、カジキは壁にぶつかることなくこちらに曲がってくるので、逃げることすらできない状態だった。

現れた瞬間一歩下がったおかげで捕まることはなかったが、そもそもとしてこんな化け物が現れた訳が男にはわからなかった。

男は部屋から出るためにカジキに向けて魔法を放ちながら扉に向かうが


『ヴィ……ブェアバ』

「なんなんだこの音は!」


カジキが扉のある方に行ってしまったため、出ようにも出られない。

外にいる聖職者達が来ないあたり、この部屋が隔離されているのだろう。

そんなことを考えていたため、カジキの攻撃に掠ってしまうが、まだ動けるのでよしとする。

男がカジキと睨み合っていると


ドン!!


急に扉が開き、扉の前にいたカジキが飛ばされと同時に


「クソ男!私の友達を神の依代にしようとしたな!」


誘惑と全身に傷がある教祖が入ってくるのだった。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る