第12話

『私様はね、優しい存在なんだ〜。主人と同じ時間軸に生活できるくらいには万物に対する耐性があるんだけどね。

 確か昔は聖女様なんて言われて祭り上げられてたかな?』


お願いだから寝かせて欲しいけど大切な情報がポンポン出てくるから寝れない。

 でも、聖女って単語は結構出てくることあるから昔の文献漁ればどんな人かわかるかな?

 それにしてもこの子の主人ってそんな毒ガスでも吐いてるのかしら?


『聖女様って呼ばれてた時はすごく綺麗な法服をきていてね、とっても似合ってて良く主人や管理者様、鷲と一緒に褒めてたんだ!褒められなれてないせいでよく顔を赤くしてたけど』

「鷲?もしかしてさっきのって」


三川が何かに気づいたらしいが私はよくわかっていない。

私は余計この子の種属、青導生物について気になるくらいね。


『さっきの鷲さんのこと?鷲さんは僕と同期で歪みの中で一緒に生活してたんだ!そもそもとして僕と鷲さん以外の意思持ちはあと2体しかいないし、その2体は寝るのが好きでとっても長く寝てるからね』

「4体しかいないんですね。となると私たちがヤッテきた青導生物は複製体の子達だけですか?」

『そうだよ!一応僕たち意思持ちも出てはいたけど僕はすぐに逃げてたし、鷲さんは電波妨害に徹してたし他の2人は地下で寝てたからね!

 そのこといまだに主人は根に持ってるけど。ほんとそんなことぐらい許してくれてもいいのに』


電波妨害?てことはこの子と戦った時あの班からの連絡が途切れていたのは鷲さん?とやらのせいね。

現代において敵にいるとめんどくさい能力を持ってるわね。


「そういえば私たちは貴方たちの仲間をたくさん殺してきたけど特に怒ったりしてないの?」

『どうでもー。だって生物として欠陥品達だったから仲間ともあんまり思ってなかったし。それに生物ってついてるだけで私たちのことを作り上げてるのは魔法陣だから生きてないからね。まあ、母体となっているものが壊れたらそれが死かな?私たち意思持ちは死なないけど』

「そう、貴方の主人も同じ考え?」

『主人はもっとひどいよー!だって私たちを使い捨てだって思ってるんだよ!あながち間違ってないけどさ、本人たちを前にしてよく言えたよ!自分のことは棚にあげるし。

 私様に怒られてしまえ!』

「そ、そう」


急にヒートアップしてしまった少女を宥めながらそういえば少女の名前とかを知らないなと思う。


「そういえば貴方や主人の名前は?」

『ないよ。主人は僕のことをカジキって言うけどね。

 それに悪いけど主人の名前は言えないよ。流石に主人を狙う輩が現れると主人が暴れちゃうからね。ただでさえあの力のせいで狙われまくってるってのに』

「カジキね。もしかして見た目そのままに付けられてる?」

『主人のことを言わないの問い詰めないんだ。あと多分あってる。昔はカジキなんていなかったのによくその名前をつけたものだよ』

「言いたくないことは言わなくていいのよ。それで貴方は今後どうするつもりなのかしら?」


流石に放置するわけにはいかないのでかじきが何したいかを知っておきたいのだが


『?……ここに勝手に暮らすけど?』

「はい?」


私はそのことを聞いた時普通に固まってしまった。


———•••———

ここで暮らすなんて言ったら赤黒固まっちゃった。でもあの袋を外に持ち歩いて生活するのはめんどくさいし、ご飯を作ってくれる人がいるとダラダラすごせるからここに定住するつもりだったんだけどな〜。

でも、さっきの質問は流石に答えられなかったや。ただでさえ精神不安定の主人に負担はかけられないからね。

おっ、やっと動いたか。

三川さんもどんどん質問してくれていいのに全然しないから赤黒が動くまで暇だったんだよ。


「ここに住むってどういうこと!?」

『だーかーらー!僕は!ここに住むってだけ!』

「先輩、そのまんまの意味だと思います」

「えぇ……」


赤黒が困った顔をするがどうせ私のことは野に放てないだろう。だって赤黒は私のことを神の眷属だって勘違いしてるんだから。

まあ、間違ってはない。主人は半分神で私が作られた時は神そのものだったから眷属といえば眷属だ。

でも、僕自身は眷属ではなく生物だと思ってるからね〜。どうしても眷属って呼びたいなら他の3人を集めないといけないし、そもそもとして、主人完全な眷属は作らない主義だから無理だろうけど。

虚の神なんてのが昔いたけどあれは無そのものに対する恐怖から生まれた存在だから神ではあるけど下っ端の下っ端。あれだけの眷属を持ってたのは褒めるけど多分僕たち4人で5分で殺せる。

ちなみに虚の神みたいなのを殺したとしても世界に影響はない。

まあ、影響バリバリある神様もいるにはいるんだけどね。


『とりあえず、そういうことだからよろしくね』

「………」


もう、困りすぎてすごいことになってるや。

まあ、僕は眠いしもう寝ようかな。質問に返答してたらしたら深夜2時になってるし。

僕はベットにダイブしてそのまま意識を手放すのだった。


———•••———

次の日

起きたら誰もう誰もいなかった。部屋についてる時計を確認すると昼の12:00だったのでもう仕事にでも行っているのだろう。

人は働かなくちゃいけなくて大変だね〜。

暇だっので外に出ることを決めるがどのようにして外に出るか。

流石に部屋を開けっぱなしで外に出るのは犯罪等があってまずいし、かといって外に出ないのは違う。

まあ、歪みを使えば行けるんですけどね。僕使えないけど。魔法陣でも使って外に転移すればいいか。

魔法陣を前に出し鷲さんの近くに転移すると転移した場所はスーパーの裏口だった。

すぐさま表の出入り口に向かい鷲さんを探すが見当たらない。

店内にいるのかと適当に歩いていたら


「いらっしゃいませー」

「!?」


当然のように完全な人型になれている鷲さんが隣を通過していく。

その事実に衝撃を受けているがそのまま鷲さんはバックヤードの方に行ってしまった。


えぇ、なんで完全な人型になれてるの?主人だって一度教えてくれたことあるけど教えられた内容“グワーとやってターとやればできる”だよ?もしかして主人により深く教えてもらったのか?

あと見た目!なんで130ぐらいの白髪の少女なんですか!?色々危ないしなんでここは雇ってんの?

すぐさま鷲さんにリンクを繋げるが


『いま、忙しいので切りますね』

『ちょっと!って、切られた』


すぐに切られてしまう。

鷲さん思ったより見た目について気にしてなかったからあの姿になってるのか、主人の完全人型が幼女形態なせいなのかを僕は考え続けるのだった。


店を去ってから数時間がたち鷲さんの方からリンクが繋がってきた。


『ほーい、なんですかー?』

『いえ、お昼頃のリンクは何が目的だったのかを知りたかったので』

『いやー、鷲さんが働いてるの見かけちゃってどうやって完全な人型になってるのかなーて』


鷲さん昼のことについて忘れてなかった。僕には気づいてなかったけど


『あれですか?簡単ですよグーってミーってやってボンです』

『わかるわけないだろ!』


僕は勢いのあまりリンクを切ってしまうのだった。



リンクを切った後、赤黒の家でポテチを食べていたら21:00ぐらいに赤黒が帰ってきた。今日は特に侵略とかはなかった筈だが、赤黒は疲れてるのかそのままベットにダイブしてしまった。


『おーい、赤黒大丈夫か〜?』

「………」


反応がない。まるで死体のようだ。呼吸してるから違うけど。

まあ、赤黒はAランクだから結構な雑用を押し付けられる。新人の教育だとか魔法関連の研究についてとか。

しかも赤黒は始まりの魔法少女の弟子だから余計に仕事が多いだろう。師匠の魔法を知る為にも頑張らなきゃいけないし。

もしかしたら昨日の話に出てきたことを調べてるのかもしれないが文献はほぼ壊れてるから無駄だって伝え忘れたや。

そして今日は赤黒は起きなかったので魔法で色々洗ったりしてから赤黒が寝ているベットに潜り込み寝るのだった。

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