第11話捕まえられた子 その2

料理を作り終えた私は魔法をといてから持っていくと固まった三川と大量の袋が目に入った。

再度魔法をかけて魔法少女の姿になり、袋の中身を確認してみるが


「お菓子だけ?」


特に危険なものが見えず魔法を使って危険物等を確認して見たが魔法に反応はなかった。

私がポテチを袋に戻して部屋のはじにおこうとすると


「うー!きー!」

「えっ?これが欲しいの?」

「ゔー!」


何か少女を怒らせてしまったらしい。すぐにポテチの袋を渡すと少女は袋を開け食べ始める。

少女が食べ終わると袋からまたお菓子を取り出そうとするがすぐに首根っこを掴み椅子に座らせる。


「うー!」

「この子こんなに声出してたかな?」


料理を見たらやけに元気になった少女を横目に見るが少女のいたところに数千円が落ちているのを発見する。

そのお金を少女に見せると少女は持っているお金を取ろうと跳んでいる。

この子一応飛べたわよね?いや、人の姿だと飛べないのかもしれない。そうなんでしょう。

あといまの私よりも身長高いのに跳ぶな。普通に取れるだろ。


この子にお金を渡しておくが今も固まったままでいる三川を揺らして気をしっかりさせると


「はっ!今の鷲はどこに!」

「何があったのよ」


鷲なんて入れるはずがないじゃない。

とりあえず椅子に座りコップに水を入れる。すると少女が私の前に置いた覚えのないコップを置くが気にせず水を入れ渡す。三川も入れて欲しそうに渡してきたがペットボトルを渡し本人に入れさせる。

少しばかりしょんぼりした表情を見せる三川だが少女がもう晩飯を食っているため私も食べないとなくなる気がする。

それより少女が素手で食べてるから箸を持たせて見たけど使い方わかってないわね。


「いただきます」


少女に見えるようにして箸を持ち食べてみるが少女は私の真似がめんどくさいのか箸を置いて素手で食べ始める。

私は少女の方に行き箸の持ち方などを教えながら食べさせていると私の分を食おうとしている三川が目に入る。


「三川?足りないなら自分で取りに行きなさい。私の分食ったらどうなるかわかっているよね?」

「は、はい!」


三川は焦ったようにキッチンの方に行くが私はそれより少女に食べ方を教えないと。

異世界人であっても人と敵対しない限りは殺傷は禁止されていて保護された子とかは普通にこちらで生活していたりする。だから、ときどき人じゃない見た目の人が買い物とかをしているが今となっては普通のことになっているのだ。

そう言えばクロノワールの女王の子も頭に角が生えていたけど隠す必要はないこと伝え忘れたや。アクアレッド伝えてくれてるかな?


「うー。うー!」

「めんどくさくても今後必要になるかもよ?」


箸で食べることが面倒なのか素手で食べようとするのを全力で阻止する。

そもそもとしてこの子カジキだったから人の常識なんて知ってるわけないか。

いや、ポテチを普通に開けて食べてたあたり少しはあるのか?

それにこの子は鉛筆と狼のこと一緒にいたけど私が殺しちゃってるし私のことを今すぐに襲ってきてもおかしくないけど。


「うー!『めんどくさい!』」

「え?」


突然頭に声が聞こえてきたが誰の声かわからない。私が声の主を探す為周囲を見回していると


「うー!『目の前だよ赤黒!意識聞こえてるでしょ!』」


え、えぇ。

喋れない代わりにテレパシーが発展した種族だったのかしら?

知能が高いことはわかってたとはいえ「うー」とか「きー」とは言ってたからそれで会話してるものかと思ったけどこうやって話してたのね。

私が種族の特性について考えていると


『箸使うのめんどくさいんだけど!なんで素手じゃダメなの!私が知ってる人は素手でよく食べてたよ!』


この子海外にいた個体なのかしら?でも海外でこの子の種族が見つかったことはないんだけど。

箸がいやか。でもここは日本。箸を使って食べる人の方が多いのだ。


「使い方は教えるから頑張りなさい。後なんで今更このようにして会話ができてるのかしら?」


この子の言葉が「うー」とかだから会話ができない者だと思ってたけど、これで喋れるなら最初っからそうすればいいのでは?まあ、情報を渡さない為にやってなかったのかもだけど。


『主人に聞いてきたからだよ!主人すっごく怒ってたけど』

「色々聞きたいことが多すぎる」


この子達の長はしっかりとヤッたと思ったんだけどな。他に生まれたのかそれとも影武者だったか。

これで余計にこの子から情報を得ないといけなくなったわね。


『それにしても人ってこんな物使うようになったんだ。私が作られた時はまだ動物から逃げまくってたのに』


動物から逃げるがどれだけ前かわからないけどこの子相当前からこの世界にいる?

もしかして神の眷属系かしら?それなら昔からいるのもわかるし【作られた】って言葉もわかるから。

今だって破壊の神とか言うのが信仰され始めてまた神殺しをしなきゃいけなくなるのは面倒なんだけど。

前に殺した虚無の神だって完全に顕現する前にAランクをそう集めからみんなが数日寝込まなきゃいけなくなるくらいまで袋叩きにしてやれたんだから。

それでも同時に現れた眷属によって街は結構被害あったんだけどよくわからない力で治ってったから問題はなかったんだけど。


とりあえず、この子について聞くのは後回しにして私も食べないと冷めちゃう。

一通り食べ方を教えた後私はすぐに自分の分を食べるのだった。

途中で戻ってきた三川が「姉妹みたいですね」と言ってきたから普通にぶん殴っちゃったけど私は悪くない。

見てないで手伝えや。もう結構食ってただろ。その時私一口しかくえてないかったんだが?


———•••———

飯を食べ終えた私たちはとりあえず少女に質問を投げかける。

三川は喋れることを知らないから何が起きるのか興味深そうにしてるけど。


「で、喋れるのがわかったから聞くけど貴方はどこからきたの?」

『それを聞いちゃうか〜。まあ、食べ物くれたし答えちゃう!

 私達は次元と次元の隙間にある場所からきたよ!主人は歪みって言ってたかな?』

「知らない場所か。異世界と言うわけじゃないのよね?」

『異世界じゃないよ!一応とはいえこの世界の分布に入るから』


歪みか。

そこにはこの子の仲間がたくさんいるのかしら?だとしてもこちらの世界に分布してるならいつでも侵略をすることができる?

そういえばこの子の種属36年前に侵略してきたけど理由はあるのかしら?


『主人が人を悪として守れって言ったからだよ!』


私が聞いてもいないのに答えてくる。


「心を読めるの?」

『いや?普通に意思が少しばかり飛んできたからだよ!

 意思を飛ばしたくないようにするなら何かをプッチンするようにしてから考えるといいよ!』

「そう、ありがとう。で、聞くけど貴方の主人って何者なの?」


この子たちに命令を言える存在は早めに知っておいて損はないから聞いたが、少女は顔をしかめるだけで一向に答えてくれない。


「無理なのね。それなら『いや、言えるんだけどね。どういえばいいのかな?私たち、青導生物せいどうせいぶつの創造主ではあるんだけどこれと言って特徴のある存在じゃないし。

 まあ、端的に言えば私たちもよくわかってないんだよね。でも、優しい存在ではあるよ!約束は守ろうと頑張ってるし!』

……見た目だけでも言ってくれないかしら?あと種属」


この子もよくわからないなら見た目と種属だけでも知れたらいいんだけど


『見た目はね、大鎌だよ!よくゲームとかで出てくる武器みたいな見た目。人型にもなれるし私よりも完成度が高くて普通に喋れるんだよ!人型のときの見た目は結構高めの身長と胸が大きい女性で青髪に紺色の目をしているよ!一応幼女形態って主人が言ってる姿があるけどその姿だとさっき言った姿が幼くなっただけかな?

種族は主人が言うには半人半神らしいよ』


やっぱり神かー。頭に手を当てながら椅子にもたれる。

でも、半神ならまだやれるか?

私の考えがまた伝わったのか


『でも、主人はどの神より強いよ。仮に私が四億体いても片手を振るだけで全部死んじゃうから。

 と言っても主人は人と敵対するつもりはないからね』


敵対するつもりはないか。


「敵対するつもりがないなら36年前に悪としてではなく普通に助ければよかったのでは?」


三川が突然話に入ってくるが少女とテレパシーがやっとつながったのだろう。


『うーん。でも、善として手伝ってたらみんな死んじゃってたよ?始まりの穴は管理者様がミスしてしまったことによって生まれたけどかんりゃ』


あっ、噛んだ。喋ってないけど噛んだ。

少女は少し顔をうつむかせてから


『管理者様がからね。だから人の成長を促すために私たちを使ったんだよ!

 私たち青導生物は大半が意思のない子だし、使い勝手が良かったからね。

 それに意思のない子、主人は複製体って言ってるけどさ、魔力は主人のバケモン魔力を持ってるから消滅する時それを世界に浸透させるんだよ。それのおかげで魔力がこの世界に早く根付いてくれたからね。

 だから悪としていなかったら魔力が浸透できないから悪として私たちは仕方なく敵対したってわけ』

「貴方の主人の魔力のおかげなのね。それにしても管理者ね。貴方は何か知ってるかしら?」

『知らなーい。主人と私様が教えてくれないから』

「また新しい名前が出てくる」


新しい名前が出てきたが、はっきり言ってもう寝たかった


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