第10話捕まえられた子

「……むっ、もう帰りたいのか?」


机に頭をのせる形で寝ていた俺は、頭に次々とやってくる『帰りたい』と言う思考のせいで目が覚めた。

おかしいな、まだ30分も立っていないのに。

目の前に歪みを発生させて回収しに行く。

歪みを出た先には一体の青い鷲がおり、俺を見るや否や突いてくる。


「やめろやめろ。それとカジキはどうした?」


二体しかいないオリジナルの片方が見当たらないので聞いてみるが、鷲は頭を左右に振るだけでだった。


「アイツ地面や空中を泳げるように作ってるから捕まるはずないけど。お前空から見ていたはずだからわかるはずでわ?」

『人型になって人に捕まりました』


鷲から思考が飛んでくるが理解したくない。確かにあいつはお転婆で逃げる癖が昔についてしまった子とは言え捕まるような子だったか?


『ポテチをくれない主人にはもうついていかないと思考が飛んできておりましたので一人で生きていくつもりかと。あと複製体の二体は赤破により破壊されています』

「複製体はいいよ、意志は作らずに運用してたから。だけど、意思を持たせたカジキが一人で生きるか。できると思うか?」


鷲は考え込んだのち同僚の普段の活動を思い出したので


『無理でしょう。歪みで生活していた時ですら私に食い物を作れと要求するくらいですし。ですけど死ぬことはないでしょうけど』

「お前ら普段から歪みを出て生活してんの?それにしても、普通に餓死してしぬのでは?」

『私とあいつの死の概念を壊したのはあなたでしょう。35年間も出してなければ忘れてしまうほどぼけたのですか?』

「俺も歳ってわけだよ。それにしてもお前たちそんなに出してなかったけ?」


少し前に出した記憶があるんだが

鷲はあきれたような眼を俺に向けながら


『立ってますよ。そもそもとして私たちを歪みに押し込んだのもあなたですし。まあ、あいつが人につくなら私はどこでスローライフでも楽しんできますね』

「そうかごめん。ま、カジキは当分放置でいいか」


鷲が最後何か言っていたがそこまで重要なことじゃないだろう。

火事によって壊れていた建物が再生されていくのを眺めながらカジキを放置することを決める。

あいつ、俺が主なのに当たり前のようにお菓子要求してくるんからな。


「お前はどうする?できればカジキの監視はして欲し………い。ていねえし」


鷲のほうを見たらそこには何もいなかった。

え?鷲お前もそんなことする性格になってたのか……

そのあと、歪みの中に複製体ないかなと探してみたが空になったポテチの袋が大量にあるだけで一体もいなかった。

ゴミはしっかりと捨ててくれ。あと、今度カジキは殴る


——•••——

『ウェーイ!捕まった時は死んだかと思ったけどこのままだと保護されそう!人の世は最高だぜ!』

『この為だけに私にリンクを繋げたのですか?』


人型のほうが捕まらないかと思ったからそれで潜ったが余裕で捕まえられるとはな〜。

一応とはいえバイクぐらいの速度は出てるんだけど。

鷲さんとリンクを繋げたため、鷲さんがすごく怒っている。

無視でいいや。


僕のことを抱えている赤黒さんは36年前に大量の複製鉛筆をぶっ壊しまくったお強い人だが、目の前にいる三川さんも多分魔法少女だろう。

話からして三川さんも雑兵をボコボコにしてただろうし。


それにしても、主人が久しぶりに私たちのことを使ったから暴れたけどいあの人の願いのためにまだに人助けを続けてるんだ。

それだと私様の方も人助けを壁としてやってるんだろうな。


そんなことを考えながら2人の話を聞いていたがまさか神の名前が出てくるなんて。

神様は半神だとしてもBランクのヒーロー、魔法少女じゃ手も足も出ないほど強いのだ!

Aランクだと同じ土俵に立てることが多いけど。


それでも、出た名前が穏やかじゃない。なんて旧暦にいたことが少し残ってるぐらいしかはずだし。

私様に任せるしかないとはいえ、多分気づいてないんだよね〜。

私様意外と自分について深刻になるまで気づかないくらい鈍感だからな〜。

まあ、そんな急に顕現することはないから僕は傍観でいいや。


しばらくして、目の前で手を動かされるので遊んでいたが2人が私のことを聞きたがっているのが感じられたので喋れることを喋っとくか


「きー!うー!」


そういや喋れないんだったや。主人ほど完全な人化できるわけじゃないから喉がしっかりとできてないんだよね。

諦めて適当に目の前に水を浮かび上がらせ文字を作るが


「これはなんでしょう?」

「どこかで見たことがあるきがするけど思い出せないわ」


伝わらないのか。そういや、現代の文字なんて知らないや。主人文字描かないから教えてくれないし。

じゃあ喋んなくていいや。多分勝手に調べるでしょ。

それにお腹すいたから鷲さんに持ってきてもらおう。


『わしー!お菓子持ってきて!』

『…………』


えっ、ずっと繋げてたから伝わってるはずなのにもう一回繋げ直して伝えるか


『わしさーん!お菓子!お菓子!』

『………』


あっ、リンク切られた。

はあ、この人たちお菓子くれないかな。くれたら神について喋っておこうかな〜。

……神ってのはね世界そ———(クソ長い説明)


「なんかこの子すっごい自慢顔で上を見てますね」

「ほんとこの子なんなんだろう」


他にも37年前の侵略も異世界にて人と神の間に生まれた子が他世界に逃げようとしてそれを追ってきた異世界人が起こした侵略だったりするよ。

いやー、神と言っても自我がないタイプや信仰されてるだけで体がない子達も結構いるんだよね、それが普通だけど。まあ、どの子も僕の主人や私様とかに比べれば雑魚の雑魚なんだけどね!

このくらいかな、説明したから菓子ちょーだい!


「どうしたんでしょうこの子私たちの方をすごく見てきてますけど」

「とりあえず離してあげるか」


おっ、解放された!それじゃあお菓子!お菓子!

両手を2人に向けて出すけど困った表情を浮かべるだけで何にもくれない。

そして少ししてから私のお腹がなった。


「この子どれほど人に近いのですかね〜」

「それにしてももう8:00か三川何か作ってあげるから泊まって来なさい」

「泊まるって言っても私魔法省に住んでるんですけどね」

「そうだったわね」


赤黒が何か作ってくれる!

赤黒が向かった方についていくとキッチン?とやらがあり私が棚を開けてお菓子を探してると


「危険だから三川の方にいなさい」


と言われてキッチンから追い出されてしまう。

お菓子が今食べたいのに!

まあ、機嫌悪くして赤破でやられても困るから三川さんの方に向かう。

三川さんの方に行くと三川さんは椅子に座っていてスマホを見ていたので私はベットにダイブする。

主人からベットがあったらダイブしろって言われたからずっと続けてるけどこのベットすごく跳ね返る!

ベットで跳ねてたら目の前に魔法陣が浮かんできた。


「えっ?とっ、とりあえず【ロック】!」


三川さんが魔法陣に向かって魔法を使うがこの魔法陣は物理無効、魔法無効なんだよね。

三川さんのてから鎖がとぶが魔法陣に触れるとヒビが入って壊れる。

そして、


『買ってきてやったぞこの野郎』

『わしさん、最高だよ!』


魔法陣から足にスーパーの袋たくさん持っている青い鷲が現れると私の前に袋をおく。

見た目めちゃくちゃシャールだけど。いや、シュールだっけ?

鷲さんは袋を置き終わると私に数千円の札を渡すと同時に


『次からは自分で買えよ』

『やる気あったらやる〜』


と思考を飛ばして魔法陣に消えてった。

三川さんはこの状況に理解が及んでないのかポカンとしたまま動かず、奥から元の姿に戻った赤黒が料理を持ってやってきたが頭にハテナを浮かべながら私の前にある袋を見続けるのだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る