第3話買い物

買い物をするために雑貨屋についたと同時に


『悪の組織で〜す』


ネックレスの形になったゼロが小声でそんなことを呟く。

それを聞いたロゼはゼロを強く握りしめると


『痛い!痛い!やめてくれ相棒!』

「鉛筆こっちの方が安いな」


ゼロが悲鳴をあげるがロゼはそれを無視して文具コーナーを見ている。

ロゼたちの兵士である鉛筆兵だが元を辿ればただの鉛筆なので家の鉛筆がなくなれば買いにこなくてはいけないのだった。

一応昨日手に入った瓦礫などがあるが鉛筆は私生活で使えるので買っておいて損はないのである。


「ゼロはどっちがいいと思う?」


ロゼは赤と青の鉛筆をゼロに見える場所に持っていくが


『また新しい強さ作るのか?』

「黒に勝てるぐらい成長してるなら次のステップ持っていっといた方が良くない?」

『俺、ヒーロー魔法少女育成係じゃなくて悪役なんですけど』

「いや、成長係でしょ。あれゼロは、初めてみたいに蹂躙されまくることがあってもいいの?」


37年前勝ったとはいえ街は壊され多くの重傷者がでたなど無傷の勝利とはなっていないのである。

そのことを見てきたロゼは善が悪に負けてはいけないと思っている

ちなみに鉛筆の強さは白、黄、緑、HB(鉛筆)、黒であり、黒が一番強い。


『それこそ俺らが干渉すればいいだろ。世界中に悪の組織が侵略しているとはいえ一番多いのは日本なんだら』

「却下。ゼロ忘れたのか?私は悪役だけど壁というだけで世界の為に関わるにはあの子の許可が必要なのを」

『忘れ、相棒』

「うん、わかってる」


ロゼが急に後ろに下がると上から巨大な機械が落ちてきた。


『クロノワールか?』

「そうじゃない。まあ、とりあえず離れよう」


ロゼは穴の空いた天井から脱出し、とりあえず人が多いところに混じる。


『思ったより文明が発達している異世界だな』

「四つのうちどれかによって対応変えるか。死者は出しちゃいけないしな」


人混みにまぎれながら考えていると機械に火の玉が当たる。

火の玉が飛んできた方をみると5人の少女が飛んでいた


「これ以上の破壊は許さない!アクアレッドここに参上!」


赤と青を基調とした戦闘服をきた少女が堂々と名乗っているが他4人は名乗りませず機械の対処にあたっている。


(いや、名乗りはしようよ。あと、アクアレッドって青か赤かしっかりしようよ、流石に赤い水じゃないよね?さっき火の玉飛ばしてたし)


ロゼはそう思いながら人混みから離れ戦闘が見やすい場所に移動を開始する。

移動していると


『ロゼ、思ったより戦況がよろしくない。民間人の避難は終わってるけど魔法少女が1人負傷して戦線離脱している』

「今回来た魔法少女のランクは?」

『E3人、D2人だ。今確認したところ機械のランクはCだからこのままだと負けるな』

「そう」


悪が正義に勝つか。昨日来ていた43人に今回の5人はいなかったからここまで弱いのか。

伊達に黒鉛筆1人がBなわけじゃないしな。


『どうする?』

「どうせ他のヒーローや魔法少女がくるからノータッチで」


(昨日、43人も来たんだ。どうせ少ししたら増援がくるだろ。)

『相棒、7』


ゼロが突然数字を言ってくるがそれを気にせず見ているとアクアレッドがこっちを見た気がした。

いや、自意識高い系のファンか俺は。だけど一応隠れるか


『相棒!』

「うるさいな、なんだよゼロ」

『ここ以外にも7箇所一斉に攻撃受けてるから増援が期待できないぞ』

「はあ?他の場所が攻められててもAの魔法少女いるからすぐに終わっこっち来れるだろ」

『3箇所がB、一箇所Aと言った感じで最悪な状況ですが何か思うことは?』


ロゼはそれを聞いて真顔になる。

そもそもとして普段はFかEで雑魚ばっかりくる。

C以上が出ること自体週に一回ぐらいなのに今回はそれが5箇所同時か。


「今回の組織はどこだ?流石にもうわかってんだろ」

『四つの組織が合同で攻めてきてる。多分今回の組織世界同士が近いな』

「ありがとう」

『行くのか?』

「ああ…………お前がな!」


ロゼは勢いよくゼロを機械に向けてぶん投げる。


『ロゼのバカー!急に投げんなよ!

あと、俺悪の組織側なんだが!』


ゼロはすぐさま鎌に戻り空中に浮遊する。


『後で殴るか。まあ、俺が行くのは知ってたけどさ!これで今年10回目だぞ!』


ゼロは愚痴りながら自らの体に魔力を流す。すると体の中にある魔法陣が起動し、ゼロの体が人の形になっていく。


『あー、いつまで経ってもなれねえな。元人間だけど人間だったの何年まえだっけな』


ゼロは腰ぐらいまである青髪に紺色の目、黒を基調としたドレスに大きめな胸の女性になるが右腕は鎌となっており異質さがある。


『とりあえずほいよっと!』


ゼロが右腕を振るとその先にあった機械が真っ二つになる。

機械と対峙していた魔法少女が一斉に動きを止めるがそれを気にせずゼロは戦場に背を向ける。


『仕事終了!本当ロゼだけ干渉しないで俺に押し付けるのやっぱおかしいだろ』


ゼロは目の前の空間を歪ませて魔法少女に見つかる前に撤退する。


『あいつの願い通りガキどももしっかりと成長していってる。

他の場所は悪がしっかりと負けているし。

本当、この世界に転生されたけど退屈しないな』


ゼロは体を鎌に戻してから歪みに入りロゼの元に戻ると同時に一発殴るのだった。

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