第2話悪の〇〇

壁に立てかけられていた鎌•ゼロが動き出し近くのベットに近づく。

ベットで寝ている存在を確認すると


『相棒〜、朝だぞ〜』


ゼロから音が出て寝ている存在に声をかける。

寝ている存在•ロゼはその声に反応せず布団を掴み続けている。

何度声をかけても起きないロゼにゼロは


『起きろや!』


自らの刃をロゼに向けて勢いよくふると


「?」


ロゼは突然体を起こし刃を止める。


「?……?」

『やっと起きたか相棒』


寝ぼけていて状況がわかっていないロゼを見ながらゼロはロゼから布団を取る。

ゼロは魔法陣を展開し近くのコップに水を入れ浮遊の魔法でロゼの前まで移動させる。

ロゼはコップを掴むと

 グシャ

そのまま握り潰してしまい自分に水がかかる。


「……?………!やべ力加減ミスった」


ロゼから少しかん高い声がしたためゼロがやってくる。


『相棒何してんだよ〜』


ゼロはその現状を見ると何があったのかを理解する。


『気をつけろよ〜』


ゼロが砕け散ったコップを鎌の先端を使って回収しながら別のコップを用意しロゼに渡す。


「ごめんゼロ。やっぱ力加減が寝ぼけてるとミスるんだよな」

『まあ、意識がしっかりしたんならいいよ。コップは後で直しとくからロゼはやることをやりな』

「助かる」


ロゼは水のかかった寝巻きを脱ぎタンスから服を取り出す。

黒のパーカーと紺のズボンを着るとゼロの方に向かう。


「ゼロ、これから買い物行くがついてくるか?」

『それより髪をとけ。綺麗な白髪がボサボサだぞ』

「ゼロに綺麗って言われてもな〜」


ロゼは洗面台のある方に向かうとゼロがついてくる。

洗面台につき鏡を見ると綺麗な白髪が酷いほど荒れており櫛を適当に入れようとすると


『ロゼ、ちょっとかせ。髪はしっかりと手入れしないとなんだよ』

「じゃ、任せた」


ゼロの近くに魔法陣が浮かびそこから黒い手が出てきたので櫛を渡す。


『そろそろ独り立ちできるようになって欲しいけどな〜。まあ、俺が世話をするのはいつものことだけど』

「お前がなんでできるのかいまだに謎だよ」

『お前が嫌がったこと全部俺がやってたからな。ロゼは嫌いなこともできるようになった方がいいぞ。特に今日みたいに女性体で出かける時わ』

「聞こえな〜い。聞こえな〜い」


ゼロにといでもらいながら改めて鏡を見ると鏡には当然ロゼが映るのだが昨日みたいに少年ではなく目が赤く肌は白い少女が映っていた。


「はあ」

『今更気にしても大きくならないぞ。お前に胸はない』

「そのことじゃねえよ」

『ありゃ、じゃ身長のことか?あと、とき終わっぞ』

「それでもねーよ。それに二次性徴は終わってってるし大きくなっても困るわ」

『なら、いつも150もいってないなんてグチを言うなよ。それにしても、なんでため息なんかついたんだ?』

「わかっておきながら聞いてくるお前が憎いよ」


ロゼはゼロを少し睨みながら目の前に歪みを作る。

今のロゼでは睨んでるつもりでもただ可愛いだけだが。

歪みを潜る前にゼロが


『やっぱ昨日のことか?いや、違うか』

「いや、あってるけど。やっぱ43人リンチされてるのをみるとな」

『まあ、あれは運がなかったってことで』

「それはそうだけどな。後クロノワールって何?俺そもそもとしてあいつらの前に出たことないし組織でもないから名前なんかないんだけど」

『あれじゃね。ほらここ最近穴を作りやがった悪の組織』


それを聞いたロゼは何かを思い出すように唸っているが


「そんなのいたっけ?」

『推定凶悪度C。4日前にこの世界を支配することを宣言して侵略してきてる悪の組織だな』


ゼロはスマホを見ながらロゼにクロノワールについて教える。


「Cか。まあまああるんだな」


推定凶悪度はその組織がどれほどの強さなのかを表記したもでE、D、C、B、A、Sといった感じでEほど弱くSに近いほど強い訳だ。

クロノワールは新参組織だが、思ったより強めな組織らしい。


『まあ、Cぐらいならあと半年ぐらいで潰れるだろ。あの黒鉛筆を倒せるぐらいヒーローと魔法少女は成長してるんだしな』

「悪は負けるからな。絶対に」


ヒーロー、魔法少女。

37年前、侵略してきた異世界の悪の組織があったのだがその組織に対して抵抗し挙句の果てには悪の組織をぶっ潰した人間達が起源となっている。

その力の源はその異世界にいた悪の組織に抵抗していた妖精たちなんだが、今となっては穴からくる魔力を使って悪の組織と戦う人たちのことを言っている。

昨日いた人達は全員ヒーローか魔法少女な訳だ。

ちなみに区別は見た目でされているだけである。

他に魔力だが、なんか見えないエネルギーみたいなものでそれを魔法陣や魔道具に通すと火を起こしたりするなどの言わば魔法が使える訳だ。


「それにしてもゼロ、昨日43人来た理由わかる?」


ロゼは昨日のリンチが起きた原因を考えるためゼロに聞くと


『クロノワールが関東しか狙わないから』

「は?」

『だからクロノワールが関東しか狙わないせいで全国のヒーロー、魔法少女の多くが関東に来てんの』

「バカなのか?」


なんで全国から人員集めてんだよ。魔力を使って魔法が使える人とか妖精と契約する人とかは多くてもヒーロー、魔法少女になる人はそこまで多くないんだぞ?他の悪の組織はどう対処するんだ?


『他に三つほど来てるけどそれらも関東ばっか狙うから余計にな』

「悪の組織が馬鹿すぎる」


ロゼは頭を抱えるが


『俺らも悪の組織だろ』

「俺とお前の2人なんだから組織じゃなくてコンビだよ。雑兵だって魔法陣組み込んで動かしてるだけだし。あとお前の自称な」

『そうだっけ?

でも昨日の会話してるみたいのは傑作だったわ』

「結構苦労するだけどなあれ。まあ、考えてても仕方ないし買い物行くか」

『何かに襲われねーかな〜』

2人は歪みを潜るのだった

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