第11話 第一王子「プロテア・スカシユリ」
扉を開けると中には何度も見たことのある人物が王族オーラをまとっていた。
「お兄様!!」
「う"っ」
ステナリアはとある人物を見ると物凄い勢いでとある人に抱き付いた。ステナリアは俺の後ろにおりステナリアのは真っ直ぐに走ったので俺はそれに巻き込まれて倒れた。
「久しぶりだな、ステナリア」
「はい!お久しぶりですお兄様!」
とある人は抱き付いたスカシユリを簡単に受け止めてその目線は倒れている俺に向いた。
「ディアも久しぶり」
「どうも」
そうこの人が俺の苦手な人、スカシユリの第一王子「プロテア・スカシユリ」、ステナリアと同じ黄色の髪色で青目を持つ超人。
「大丈夫か?」
「そう思うなら、そこのバカ王女をしばいてください」
俺はそう言うと立ち上がった。いつものステナリアならバカ王女なんて聞いたら、すぐこちらに殴りにかかってくるが今は、お兄様に夢中で俺の言葉が頭に入っていない。あいつの頭に入ってくるのはお兄様の言葉とお兄様に関する言葉だけ。
「学園長、お疲れ様です」
プロテアはステナリアを抱きかかえたままお礼した。
「いやいや、面白かったよ。君と同じことを言われてね」
ロレアス学園長は生徒会室の腕を組み、壁に背中を預けてそう答えた。
「同じこと?・・・あぁ、「モクアウト」の話ですか?」
「そうだ。ふふっ、青目の凄さを実感したよ」
ロレアス学園長とプロテアは笑いながら会話をしている。
プロテアを見ると前に会った時よりも王族オーラが強くなっている。それにより前よりも苦手になっている。
「ディア・・・なんか前よりもひどくなってないか?」
「その王族オーラを収めてくれたら俺は苦手どころかステナリア以上に好きになるかもしれない」
「いやいや、出してるつもりないんだけど・・・」
俺とプロテアの気まずい雰囲気を察したのかロレアス学園長が話を切り出してくれた。
「今回は挨拶だけだからこのくらいにして寮の案内に移りますか?」
「はっ「いえ、もう少し待ってください!」
俺が「はい!」と言おうとした時にステナリアに声を合わされて俺の声は届かなかった。ステナリアの声にロレアス学園長は驚いていた。
「ステナリアも疲れただろ?今日はもう寮で休んできたらどうだ?」
「で、でも!春休みに
プロテアは毎年夏休み、冬休み、春休みと長期休暇がある度に帰ってきていたが、今年は生徒会の仕事が忙しかったらしく帰ってこなかった。
ステナリアは学園が春休みに入りプロテアが帰ってくるのを待っていたが、ずっと落ち込んでいた。俺が何を言ってもステナリアは無を貫いていた。
俺たちが出発する一週間くらい前に学園から王宮宛て手紙が来た。それはプロテアの手紙で、それを受け取ったステナリアは凄く喜んでいた。手紙の内容は、春休みに帰ってこれないこと、学校での話、ステナリア、国王、王妃様に向けてのこと、そして何故か俺へのことも書かれてあった。
それからステナリアは元気を取り戻したが、俺が今までスカシユリに言っていた言葉をステナリアは覚えていたみたいで、俺はその言葉の分の暴力カウンターを食らった。
今思い出したら腹が疼いていた。俺は腹をさすった。
「ディア、腹でも痛いか?」
プロテアの言葉に俺は「いや、大丈夫」と返そうとしたが、プロテアを見ると俺はこれがプロテアが俺にくれたチャンスであると気付いた。
「これは...やばいかも...」
俺は俺が出来る最高の演技で答えた。
これは青目同士のスーパーコミュニケーション。俺とプロテアは昔から言葉にせずとも通じ合うことは多々あった。
「ステナリア、ディアは腹が痛いらしいから今日はもう休んだ方がいいよ」
俺が腹を抑えて倒れているのを見てプロテアがステナリアにそう言ってくれた。ステナリア俺を見る。
「・・・そんなに痛いの?」
「ま"じで...やばい...」
そんな俺の様子を見たステナリアはプロテアから離れた。
「仕方ありませんね、今日は寮に行きましょうか」
俺は人生で初めてプロテアに心の底から感謝した。・・・って言うか俺の腹が疼いたのはあんたが帰ってこなかったのが原因じゃないか!なぜ俺は感謝などしていたのだろう。
俺は腹を抑えながらプロテアを睨んみながら立ち上がった。そして生徒会室を腹を抑えながら出た。
「では、お兄様、また明日」
ステナリアは手を振りながらそう言って生徒会室の扉を閉めた。プロテアも手を振っていた。
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