第10話
すると、朋紀はいきなり身を乗り出し、真剣な眼差しで私の顔をのぞき込んできた。
「大丈夫。今まで何も出来なかったからって、瑠羽が気に病む事ない。そういう細かい事までお願いするわけにはいかないって、うちの両親が遠慮していたんだから」
何故、そうなる!?
もしかしなくても、都合のいいように解釈されちゃってる?
「別に気に病んでないしっ、今後も何かするつもり、全然ないしっ。そんな役目、絶対ヤダ、冗談じゃない、絶対断るんだからっ」
カッとなって、頭に浮かんだ言葉を、浮かんだままに口にしてしまっていた。
でも、これだけキッパリと意思表示すれば、私の気持ちは伝わるはず‥‥‥。
そう信じて、顔を上げたのだけれど‥‥‥。
朋紀は、ベッドの脇のキャビネットに置いてあったブレスレットやネックレスを手にとって、しげしげと眺めている。
「こういうデザインが好きなの?‥‥‥‥プレゼントしてやろうか?もうすぐ誕生日だし」
「ちょっと、あんた、人の話を聞きなさいよっ。っていうか、誕生日って‥‥‥どうしてそんな事まで‥‥‥」
訊ねる私に見向きもせず、今度は、枕元に置いてあるファッション雑誌に手を伸ばしながら、彼は、くすっ、と小さく笑った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます