第10話

すると、朋紀はいきなり身を乗り出し、真剣な眼差しで私の顔をのぞき込んできた。



「大丈夫。今まで何も出来なかったからって、瑠羽が気に病む事ない。そういう細かい事までお願いするわけにはいかないって、うちの両親が遠慮していたんだから」



何故、そうなる!?



もしかしなくても、都合のいいように解釈されちゃってる?



「別に気に病んでないしっ、今後も何かするつもり、全然ないしっ。そんな役目、絶対ヤダ、冗談じゃない、絶対断るんだからっ」



カッとなって、頭に浮かんだ言葉を、浮かんだままに口にしてしまっていた。



でも、これだけキッパリと意思表示すれば、私の気持ちは伝わるはず‥‥‥。



そう信じて、顔を上げたのだけれど‥‥‥。



朋紀は、ベッドの脇のキャビネットに置いてあったブレスレットやネックレスを手にとって、しげしげと眺めている。



「こういうデザインが好きなの?‥‥‥‥プレゼントしてやろうか?もうすぐ誕生日だし」



「ちょっと、あんた、人の話を聞きなさいよっ。っていうか、誕生日って‥‥‥どうしてそんな事まで‥‥‥」



訊ねる私に見向きもせず、今度は、枕元に置いてあるファッション雑誌に手を伸ばしながら、彼は、くすっ、と小さく笑った。

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