第4話

「‥‥‥‥‥」



でも、私の笑顔に対して、彼は笑顔を返してはくれなかった。




馴れ馴れしいって思われた、かな‥‥‥‥?




無言で見上げてくる香坂少年に違和感を感じつつも、私はマグカップを二つテーブルに置く。





「あっ、砂糖、要りますか?ちょっと待って‥‥て‥‥‥」



そう言って再び立ち上がろうとしたのだけれど。




いきなり強い力で腕が引っ張られ、私は無様に床に膝と手をついて倒れてしまった。




何が起こったのか判らず慌てて身体を起こそうとした瞬間、





「随分、他人行儀なんだな。瑠羽?」





耳に飛び込んできた不遜な声に、鼓動が跳ね、全身が総毛立つ。





左手首を掴んでいるしなやかな腕を辿って恐る恐る視線を上げたその先には‥‥‥。




つい先ほど見た、穏やかな笑みとは全く逆の‥‥。





禍々しい笑みを浮かべる香坂朋紀の、射抜くような眼差しがあった。

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