第31話

『…ちょ、類。私聞いてないんだけど。』


「は…、」



伝えたって言ったじゃん。


彼の家には、既に来客がいてその人はキッチンでなんの違和感もなく、フライパンを持っていた。



菅野 すもも。




『類。』


『いいじゃん、そんくらい。


名前、知ってるよね?』



『知ってるも何も…』




同じ名前ですもんね〜。



この様子、菅野 すももは私を良くは見ていない。


学生時代は一切関わりがなかったことからすると、…彼が連れてきたから?





て言うか、仮にも義兄妹で寝ておいてよく、普通でいられるよね。



2人でいられるよね。




『お風呂は?入る?』


多分、私に聞いてるよね。



全然私の方を見てないけど。




「入ってきたから、大丈夫。」



『そう…、じゃあ類、湧いたから入ってきて。』



お風呂へ向かう彼は、何も持って行かなかった。


自分の家だし、どうせ置いてあるんでしょって思って、終わったんだけど。





『…また忘れてるってば、』



小さく漏らした彼女の方は、苦い顔をして脱衣場に入って行った。



…はぁ?


普通に入って行ったけど。


ノックも無しに。




脱衣場から戻って来た菅野 すももの頬は真っ赤だった。


…そこでなにがあった?







『な、入ってくんならノックして

ってこれ、言わなかったっけ?』






未だに真っ赤に染めた顔を彼に向けて、怒られてる。



まさか、裸の菅野 類と鉢合わせた?

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