第29話

『私も旦那と結婚する前はそれなりに遊んできたけど、あの人は…次元が違う。』



「なにそれ」


聞いたことない話。




『高校時代、私よく合コン言ってたじゃん。』



人数が足りないとかで、仕方なくって言い訳してたっけ。


本当は自分が行きたかったくせに。






『その相手の学校がたまたま彼のところだったことがあったの。


これはそこにいたお友達から聞いた、あくまで他人から聞いた話だけど。

来る者拒まず、だったから経験人数だってどれだけいるのかわかんないって。


実際、その時にいた私の友達2人、食われてたしね。』




「2人も…」



『彼が李にそこまでする理由、私にはわかんないけど、私は菅野くんの方が早めに切った方が李には、良いと思ってる。』






助言をされてすぐ、やっぱり私達は会った。



と言うか、彼が約束の日に私の家に迎えに来た。




『おぉ、ほんとにいるじゃん。』



「あなたが俺に時間使えって言ったんでしょ。」



『そんなこと言って、嬉しそうな顔、隠せてないよ。』




頬をぺちぺち叩いてれば、嘘だよって頭上から聞こえてきて、殺意が湧いた。






彼の車で移動中、ブーーっと携帯が震えた。



『李ちゃんのじゃない?』


「…」



『あの人か。』



出なかったら、鳴り止むことなく掛かって来てる。



22:00前。


ということは…多分、今のこの状況を察したんだろう。




『俺が出よっか。』

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