第二章

第18話

『同窓会の案内?またぁ?』



この間届いた手紙を柚月にも話した。


…この様子、柚月には届いてないみたい。




本当にランダムなんだ。






「私、その日は行けないから柚月どう?」



新婚さんが夜遅くにふらついているのは、旦那さんの気分はどうかと不安にはなるけど。



『ごーめん。私もその日、大手の社長と食事会があってね、本当は旦那だけで良いんだけど…』



そっか。なら不参加で連絡するしかない。








『同窓会、また同じ場所…なはずがないよね?』



「参加する人しか教えて貰えないんじゃない?

…菅野くんも来るって話らしいし。」



『あー、それは納得。』






"不参加"



だってこの日は、朝日さんと初めて外出できる日だから。



レストランは既に予約済みだそう。


何処の?と聞いても、内緒と言って教えてはくれなかった。




当日までのお楽しみらしい。









私だって、結構楽しみにしてたよ。



朝日さんが予約したレストランが、同窓会Part2の開催場所だって知るまではね。




『李?』


「ううん、なんでもない。」



元クラスメイト達は、気を使ってか、それともただ単に気付いていないだけか、声は掛けて来なかった。



…幸い。



気付いていたとしても、一緒に食事をしている彼をみんなは"彼氏"と思うだけ。



不倫してる、なんて絶対思わない。






朝日さんの年齢は、25歳。


5歳差の恋人同士は、ざらにある。




近くではないにしても、菅野 類があのメンバーの中にいるだけで、私の神経は同窓会Part2に行ってしまうわけで。



「ちょっと…」


『うん。』




情緒を整える為に、お手伝いに出た。


何も気にせず、楽しく食事をできている彼が、今では羨ましく思える。




呼吸を整えて、トイレの扉を開けた。


「…」












『彼氏いたんだ。』

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