第17話
…次の春?
次の春って?と続けると、4月なんだ、と続けた。
今は1月…え、3ヶ月後?
「…」
『李、本当にごめん。』
欲しい言葉は、"ごめん"じゃないのにな。
『…李を失いたくない。』
「わかってますよ。」
私のことを、じゃなくて今自分の手の中にある物を失いたくないだけだってこと。
「ちゃんと奥さんのこと大切にしてるんですね。」
不倫していても尚。
子供を作れるくらいに、この夫婦はいい感じだと言うこと。
『李のことも、大切にしてるよ。
奪われたくないから、顔も見えない男に。』
「私を気がある人なんて…」
『今、他の男の顔を思い浮かべたでしょ?
…同窓会にいた、男かな。』
その通り。
菅野 類が私の脳内を埋めた。
『帰らないで、李といようかな。』
…そんな気、ないくせに?
いつだって、私の為にこのホテルを利用した事はないし、…いつだって、先にここを出るのは彼。
「電話、鳴ってる。」
『李、』
「帰らないと。」
…思ってもないことを口にした。
正直、奥さんのことも、彼ら夫婦が離婚しようが、どうだっていい。
…最終的に私と朝日さんが、繋がっている証拠が残らなければ、それで。
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