第16話

『男の匂いつけてる?』



「…付けてないですよ。」




"今日は。"





『そう?』



「朝日さん、」



『その前に成人式の話、聞かせてくれる?』





いつものように、あった事を話した。



柚月が酔っ払って大変だった、とか地味だったクラスメイトが可愛くなってた、とか。




ただ、菅野 類とのことは、除いて。





来る者拒まず、去る者離さずの朝日さんがそんな話を聞いて、じっとしているはずがないから。






私に隠れて、彼に会うに決まってる。








『同窓会って怖いよね。』



「の、後のことを考えると、ってことですか?」



『だって李、可愛いから。』




その言葉を合図に、進んでいく行為。



…別にこの人を好きなわけじゃない。


でも、一緒にいたいと思う。







『…』


行為後、携帯の光に照らされる、朝日さんの顔。



「…帰りますか?」


『うん、…』



「朝日さん?」





『ごめん、李が落ち着いたら話そうと思ったんだけど、中々言い出せないまま……』




この雰囲気、良い知らせではない。












『次の春、子供が生まれるんだ。』

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