第7話

「…」

『…』



……どうしよう。


どうしよう、どうしよう、どうしよう。



失態を仕出かした。





この腕をすぐにでも離してほしい。


そして、私を何処か遠くにやってほしい。




…当たり前じゃん。


彼の言う"すもも"が私なはずがないじゃん。



私を知らなかったくせに、って自分で言ったんじゃんか…。






「見かけてないから、離して…」



『あぁ、ごめん。ほんと、ごめん。』



謝られたら、もっと傷付くわ。




トイレに閉じこもって、同窓会は何とか恥晒はじさらしにならなくて済んだ。





会ももう終了の時間になって来た頃。




『あ、コート…』



「良いよ。私取ってくる。」




ほろ酔い状態の柚月と、


一滴も口にしていない私。



動くなら確実に、私の方がいい。









「柚月のコート…」




〈え〜、ダメ?類には内緒でさ、〉



…ったく、またゲスい。


同窓会を何だと思ってんの。




『…』


〈菅野さんにも良い提案だと思うんだけどな。〉




…ここは見て見ぬふりを。








『こいつは、俺とまっすぐ帰るから

お前もまっすぐ帰れ。バカ。』








…最悪。

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