第6話

「…」



私じゃない。



だって関わりなんて、一切ないし。


だから彼の横を通り過ぎた。





…って、簡単にはいかないよね。






『こんばんは。』



私の名前も、存在だって。


今ここで目を合わせるまで、知らなかったくせに。





「腕、離してほしいんだけど。」



彼が私の腕を掴んでる理由が、見当たらない。



…私、何かしたっけ。





『すもも見かけなかった?』



「…」


「…ここにいるけど。」



『え、どこ?』



「だから、ここ。私。すもも。」



『…』



…なに。



『…』



何この間。








『…っと、ごめん。

君じゃなくて、菅野 すももの方…』

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