第11話
「話さねえし。」
「なんだよ。」
「何だよってお前な。
話してほしいなら先にお前からだろ。」
「…私の過去の恋愛聞きたいの?」
「……お前まじで何もかもムカつくな。」
いや、本当に驚いて目を見開いただけじゃん。
煽ってる訳じゃない。
"俺のが聞きたいなら話せば?"と、2回も言ってくるもんだから仕方なく。
高校時代のなんのピュアさもない恋愛を話した。
「そいつと初めてシたって訳ね。」
「っ違うし。」
「へえ、じゃあいつの彼氏?」
…まんまと乗せられた。
いつの間にか下の話になってるし。
ここ数年 七瀬といるけど、こんな生々しい話をするのは初めてだ。
「そのつぎの、彼氏」
「…へえ。」
「へえって何?七瀬は?」
「俺そんなの話すって言ったっけ?」
お前が勝手に話しただけじゃん?って平然と言ってのけるこいつの頭をシバいてやった。
最後の最後まで七瀬は言わなかった。
「結局お前の話聞いてお開きだな。」
「フッ、七瀬が頑固として言わなかったんでしょ。
背が高いだけの嘘つきバカ眼鏡。」
「お前な。俺が眼鏡掛けてんのは仕事だけだからな。」
そんなの、知らんがな。
……そして、この酔った彼女はどうするか。
「坂井さん、お家はどこですか?」
「ん〜、あっち!」
「…どっちだよ。」
「お前、仮にも先輩な。」
「そっちの言い方の方が失礼だからね。」
結局、坂井さんの自宅を聞けなかった私"達"というか、七瀬は「朝日奈の家泊めてあげれば。」なんて身勝手な事を言い出した。
「坂井さん、歩けます?」
「俺が支えてるからお前は鍵、出して。」
私だけでは長身の彼女を抱いて帰れるはずもなく、終電が無くなった今、七瀬も着いてきた。
「七瀬くん、…」
どさくさに紛れて七瀬の首に腕を回す彼女。
そんな彼女を私が支える隙はなく、結局七瀬が部屋のベッドまで運んだ。
「ありがとう、助かったよ。」
「…」
「七瀬はどうやって帰るの?」
「…」
「…何、」
「俺も1晩、泊まらせて。」
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