第5話 初戦闘
シンはバフで強化された自分の体を感じながら、一気にイノシシ型モンスターに踏み込んだ。持ち前の速度と攻撃力で、まずは一撃目を狙い、破壊者を振り下ろす。鋭い刃がモンスターの分厚い皮膚を切り裂き、深い傷がその胴体に刻まれた。イノシシ型の巨体が痛みでうめき、足元を崩すが、シンは間髪入れず二振り目の攻撃を加え、モンスターはそのまま地面に崩れ落ちた。
「嘘…」シンは息を整えながら、まだ立ち尽くすイノシシの屍を見下ろした。あまりの早さに、少し拍子抜けした表情を浮かべる。
「すごいじゃん、シン!まさか二撃で倒しちゃうなんてね。」フレアは小さく拍手しながら近寄ってくる。
「ふう…まあ、フレアちゃんのおかげだな。やっぱりバフがあると戦いやすいわ。」シンは肩をすくめながら笑みを浮かべた。どうやら異世界でも、この基本的なモンスターには問題なく対処できそうだと確認できて、ひとまず安堵する。
シンは改めてフレアの姿に目を向けた。戦闘中の彼女の華麗な姿が頭に焼き付いて離れない。彼女が戦闘モードに入るたびに、チアリーダーの衣装がひらひらと舞い、日焼けした健康的な足が時折のぞくたび、シンは心の中で何度も可愛いとつぶやいていたのだ。
「なあ、フレアちゃん、戦闘中の踊り、やっぱりすごく可愛いんだよな。動きが軽やかで、見てて惚れ惚れしちゃうよ。」シンは正直な感想を伝え、少し顔を赤らめながら照れ笑いを浮かべた。
「またそんなこと言って…!恥ずかしいじゃない。」フレアはぷいっと顔をそむけつつも、目元に少し嬉しさが表れている。その頬には、やはり小さな赤みが差していて、シンにとってはその反応さえ愛おしかった。
「けど、さっきの戦いで大体の手応えは掴めたよな。これで普通のモンスター相手ならなんとかなりそうだ。」シンはもう一度地面に横たわるモンスターを見て、そう呟いた。異世界の戦闘がどうなるか不安もあったが、この程度のモンスターならば二人で十分に対応できると確信することができた。
「じゃあ、もう一度服を調達に向かおうか。ここで立ち止まってるのもなんだし。」シンは再び前方の集落を見据え、フレアにそう言うと、彼女も頷いて一緒に歩き始める。
「そうね、ちゃんと村人に馴染むようにしておかないと。」フレアもシンと並んで歩き出し、集落に向かって進んでいく。これから先、どんな冒険が待ち受けているのかは分からないが、少なくとも二人の連携は確かなものだ。お互いを確認し合うように歩を進め、シンとフレアはモンスターの屍を後に踏み出していった。
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